余談 大魔法使いの誕生
大きな草原の真ん中で二人の少年と一人の少女がいた。
一人の黒髪の少年は穏やかな性格で、何かを研究することがとても好きだった。
また、素晴らしいほどの魔法の才能に恵まれていた。
もう一人の青髪の少年は元気な性格で、大きな力を求め、この世界で最高の座『大魔法使い』に憧れていた。
しかし、彼にはごく平凡な魔法の力しかなかった。
二人は親友と呼べる存在で、互いの夢を応援した。
そして、一人の少女。
目立った白髪の美しい少女。
二人の住む王国の王女で、誰にでも優しく、たくさんの人から愛されていた。
その三人は同じ年でいつも仲良く遊んでいた。
その日は暖かい木陰の下で昼寝をしていた時だった。
「ねえ、『科学』って知ってる?」
少女が二人に問う。
「いや、知らね」
青髪の少年は興味がなさそうに答える。
「なんですか?それ」
逆に、黒髪の少年は興味を持ち、少女に聞いた。
「この前、城の書庫にある一枚の本に書いてあったの。魔法と対になる存在だって」
「魔法と対⁈なんだそれ⁈」
「そんなものが存在するんですか?」
青髪の少年も興味を持つ。
黒髪の少年はさらに疑問が増えていく。
「これからさ、時々、『科学』について調べてみない?」
「「賛成!」」
それから三人は城の中の本に『科学』についての文献がないか調べた。
しかし、残念ながら『科学』に関する書は彼女の見つけた本一冊だった。
その結果で悲劇が起こる。
三人は『科学』に関する書を見つける代わりに、『災厄の書』を見つけてしまった。
その本に書かれていることを実践すれば、どんな者でも史上最強の魔法の力を手に入れ、世界最強の魔法使いになれる。
その存在を知られたことにより、魔法の才能に乏しい者。
さらに強くなろうとする者。
さらには、大魔王の軍勢までもが国を攻めてきた。
王はある場所に『災厄の書』を封印した。
そして、その大戦を食い止めたのは、黒髪の少年だった。
圧倒的な魔法の力で、相手を倒し、国に勝利をもたらした。
彼は次期、『大魔法使い』に任命された。
皆は大いに祝福し、少女との婚約まで発表された。
しかし、一人、辛い思いをしている者がいた。
青髪の少年だ。
悩みに悩んだ青髪の少年は最悪の行動に出た。
『災厄の書』が封印されし場所は王女である、白髪の少女の中である。
青髪の少年は『災厄の書』を手に入れる為、白髪の少女を殺した。
そして『災厄の書』を手に入れた青髪の少年は『闇の大魔法使い』と名乗る。
しかし、『闇の大魔法使い』は黒髪の少年と大勢の魔法使いによって殺された………はずだった。
その後、黒髪の少年は少女の葬い、世界を救った英雄てして『大魔法使い』となった。
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大魔法使いは城の書庫を歩いていた。
そこはかつての親友が『科学』について調べた場所だ。
そこで、チェックのつけられた本を見つける。
大魔法使いが開いたその本には…。
別世界への行き方を記された、魔法の書だった。




