第四十六話 剣士を探せ
遅くなって申し訳ありません!
「なぁ、この前聞いたんだけどよ?学」
学校での休み時間。
俺が席に座っていると岳信がこんな問いかけをしてきた。
「俺たちの学校にそれはそれは凄い剣の達人がいるんだってよ」
「なんだそれは?ここはどこかの異世界かよ」
そんなファンタジーみたいな話に岳信は。
「ちげえよ。なんか剣道をやっている人がいて、その人は大会で決勝に進出するものの、目立つのを嫌がって負けてるらしいんだよ」
なにそいつ。
そんなにクールな奴が俺たちの学校にいるのか。
「へぇ、そんな噂聞いたことねえな」
「そうか〜、やっぱ知らないか」
ドスン、と俺の机に座る。
しかし、そんなカッコ良さそうな奴あってみたくないこともないな。
「なぁ、昼休みにさがしてみねえ?」
「まぁ、いいよ」
俺は適当に返事する。
俺も剣を使うし(そういや最近使ってない)、ご教授願いたいところだ。
「よっしゃ!じゃあ、昼休みまでに情報収集しとく!」
そう言って岳信は教室を飛び出していった。
チャイムが鳴ったのはその後だった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そして迎えた昼休み。
今日は教室で昼飯を済ませることになった。
「なんかわかったのか?」
残りの休み時間を情報収集に使った岳信に聞いた。
「んー、これといった情報はなかったけど、あまり目立たない眼鏡の人らしい。なんか試合見たことある人もいるらしいけど、風の如く瞬殺されるらしい」
「かなりの達人だな」
どこ情報なんだ。
しかし、なるほど。
ならば、目立たない眼鏡をつけたを中心に聞いていくか。
「でも、それだけの情報で見つかるか?」
「まぁ、根気で行くしかないだろ」
前向きだな。
仕方ない。
付き合ってやるか。
「とりあえず、隣の二組から見ていこう!」
岳信は席を立ち上がった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
二組に入る。
まぁ、隣のクラスだからすぐついたが。
陰影と夢呂日はいないから、もう図書室に行ったらしい。
しかし、本当に見つけられるのか?
「んじゃ、それっぽい人いるか?」
「ん?学と岳信じゃん」
俺たちに話しかけてきたのは第一の使者吉川だった。
メガネだな。
目立たない方なのか?
でも条件は合ってる方か。
「なぁ吉川、お前って剣道とかやってない?」
敵の時もかなり強かったしな。
ひょっとすると…
「うん、今もやってるよ」
「そうだったのか」
なあんだ。
俺たちが探していたのは女剣士の吉川だったって感じか。
「へー、お前強かったんだな」
「まぁ、ゴミクズの方が多分強いけどね」
「お前、最強じゃなかったの?」
あれ?
まさか…
「最強ってなんだよ。私、剣道は中レベぐらいだぞ」
なんだ違ってたのか。
今思えば、こいつがその剣士みたいに強かったら、余裕で優勝して、でっかい大会行ってるか。
「で、そのゴミクズって誰だよ」
その呼び方酷いなぁ。
「名前も言いたくないよ。ほら、谷川だよ」
「「ふぇ⁈」」
俺たちに二人は余裕で驚いた。
マジかよ。
「あいつ、剣道やってんの?」
岳信が驚き顔で尋ねた。
衝撃の事実、発覚。
「いや、正確には『やってた』だな小学六年の頃にやめたんだよ」
そうなのか。
でも…
「「それは無いな!」」
思わず岳信とハモってしまった。
あいつがそんなキャラなはずがない。
だって、あんなことしか考えない夢呂日だぜ?
そいつがそんな訳…ぷっ、くくく。
「ありがとう、じゃあ俺ら行くわ」
「え、あ、うん」
「じゃあ学、次は三組行くか」
「そうだな」
俺たちは教室を出た。
「あいつ、物凄く強かったんだけどなぁ」
俺たちが聞き逃したその言葉。
近くにいた眉毛の濃い奴は聞き逃さなかった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
その後、三組と四組を探したが、そんな人物には会えなかった。
そして、放課後。
いつもの通り、科学部へとやってくる。
「おい!なんで昼休みに図書室に来なかったんだよ⁈」
入るなり、怒り気味の夢呂日が言ってきた。
「ちょっと人探ししてたんだよ」
「そうか、とりあえずもういいよ。とりあえず岳信!ムシゴッドの大会が今度、あそこのショッピングモールで開かれるらしいぞ!」
「マジか⁈ヤバイ、人なんか探してる場合じゃなかった!」
ムシゴッドっていうと、あのアーケードゲームか。
俺は陰影の隣に座る。
「人探しって、誰を探してたんだ?」
今日も相変わらず暗い陰影が聞いてきた。
「なんか強い剣士らしいんだけど…」
「なんだ、その二次元みたいな設定」
夢呂日を見ても、やっぱりそうは思えない。
少し剣道をやってたぐらいだろう。
絶対にあいつは違うな。
俺はそう確信した。
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「ちょおおお!時雨ちゃんまで倒されちゃったの⁈」
「そうみたいっす」
「あと、幹部は君も含めて二人しかいないよ⁈」
「そうですね」
「君に任せても大丈夫かなぁ?もう、負けそうで怖いんだけど」
「まぁ、任せて下さい。プロジェクト『S』も成功させましたし、奴らのメンバーの一人、谷川夢呂日の注意すべき点も得ました。あとは本気で挑むだけです」
「ん?なんか今までで一番頼もしいな」
「なので俺に任せて下さい」
この章もあと三話!




