第四十五話 歴史編
目が覚めた。
そこは綺麗な教会だった。
南極から脱出できたのだろうか。
「おお!死んでしまうとは何事だ!」
隣で夢呂日がテンション高めに言ってきた。
「まだ死んでねえよ!」
律儀に突っ込む俺。
隣では岳信が寝ていた。
ベッドから身を起こす。
「今、どうなってるんだ?」
夢呂日に尋ねた。
確か南極で、社会の教科書を開いて…。
「ここはオーストラリアの教会だ。今、ここの人に安田先生が助けてくれたお礼をしている」
南極の次はオーストラリアか。
あのままだったら死ねた…いや、死んでたな。
「とりあえず、みんな無事なのか?」
「・・・」
「おい」
「えっ、あ、ああ。俺もさっき目が覚めたばかりだ。意識があるのは俺と先生だけだ。みんな命に別状はない。お前が社会の教科書を動かしてくれたんだろ?お前のおかげだ」
そうか、よかった。
そうしているうちに岳信が目を覚ました。
「知らない天井だ」
「「そのネタはやめろ!」」
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陰影や先輩が次々と目を覚まし、俺たちは先生のところへ行った。
「Hello,◯△◇…」
うん。
何言ってるか分からん。
「彼はメンデルさん。ここはオーストラリアの教会です」
へぇー。
安田先生は英語もわかるのか。
「翻訳魔法というのを実行してみました。しかし、やはり思いつきの魔法は疲れますね。もう、魔法が使えそうにありません」
結局、魔法なのか。
それに結構疲れるもんなのか。
メンデルさんか…。
「○△◇+%☆…」
うん。
何言ってるか分からん。
「先輩達、何言ってるかわかります?」
すると、岡本先輩が言った。
「ああ、ゆっくりしていけとを話している」
「え!先輩分かるんですか⁈」
「ふっふっふ、俺の将来の夢は女子校の英語教師だからな…」
マジか。
将来、岡本先輩の顔がニュースに出てくるかもしれないな。
岡本先輩が前に出る。
「Thank you for ナンタラカンタラ…」
うわっ、どんだけ女子校の先生になる為に勉強してるんすか。
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その後、メンデルさんにエンドウをご馳走になった。
なんか色々言っていたが、やっぱら分からん。
岡本先輩にも流石に限界があるらしい。
そして、長居しても仕方ないし、帰ることになった。
「「「「グッバーイ‼︎」」」」
これぐらいは言える。
手を振ってメンデルさんが見えなくなると、社会の教科書を使って、俺達は帰った。
後で、三年の先輩に聞いたところによると。
メンデルさんは昔の人。
つまり俺達は社会の教科書の歴史を使ったのだろう。
彼のくれたエンドウは実験に使われたものらしい。
遺伝のナンタラと言っていたが、さっぱりわからない。
まぁ、その内習うだろう。
こうして、俺達の大冒険(?)は幕を下ろした。
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おまけ。
「そういや、公民はどうするんですか?」
理科室についた時、みんなに聞いた。
『現在の世界の政治関係の情報収集と、憲法や法律の改変が可能になる。 』
「戦いのある日本にする事ができるのか…」
と、岳信。
「俺が…日本を統治できるかも…」
と、陰影。
「これで、俺もハーレムに…!」
と、夢呂日。
・・・。
結果、社会の教科書の公民の能力は使う事が禁止にされた。




