第四十三話 さぁ、大冒険だ。
俺たちの二学期は特にやる事もなく、ただただゆるく過ごしていた。
暇だなぁ。
けれど退屈もこれまでだった。
そう、小橋先生が新しい魔道具を作っている理科準備室の扉が開いたのだ。
「みーなさーん!新しい魔道具がーできたぜぇぇぇぇぇぇ!」
小橋先生の深夜テンションはうざいが退屈な今にとっては丁度いい。
前回の魔法ウォッチは俺はあまり使っていない。
逆にいつ使っていいのかが俺にはわからない。
今まで使ってなかったんだし、しょうがないよな。
岳信はパワー増強などを愛用しているらしいし、陰影は料理や、殺人の練習(必要?)に役立っているらしい。
夢呂日は…。
さりげなく女子のスカートを覗くのに役立っている…らしい。
「今度は凄いですよ!」
小橋先生の言葉により、全員が注目を向ける。
小橋先生は袋から社会の教科書を取り出した。
「その名も『社会の教科書』です!」
「ナニソレ」
岳信が呆れたような声を出した。
また変なの作ったな。
「で、先生その魔道具は俺たちに何をもたらしてくれるのですか?」
夢呂日が面倒くさそうに小橋先生に聞く。
「まぁ、とりあえずこの取扱い説明書を読んでみようか!」
そんなもんまで作ってたのか。
『取扱い説明書
この教科書には「地理」「歴史」「公民」の三つの能力があります。
「地理」
教科書に載る有名な所へすぐ行ける。
「歴史」
有名な出来事があった時代にタイムスリップ出来る。
「公民」
現在の世界の政治関係の情報収集と、憲法や法律の改変が可能になる。
』
「「「ナニコレ凄ぇ」」」
全員がハモった。
てか、もうやりたい放題だな。
「では、今度の休みにみんなでいろんなとこを大冒険しましょう!」
安田先生のテンションが上がってきた。
まぁ、最近暇だったし、たまにはいいか。




