第二十三.五話 文化部祭り 後編
「おいおい、君ー。いい加減黙ってないでなんか喋ろうよ」
「ほらほら、俺たちといい事しようぜ」
さぁ、俺の出番が来たんじゃ無いかな?俺は少しずつその集団に歩み寄る。
「…お断りします」
「ああん?なんて言ったのかきこえないな」
一人の男が女の子に殴りにかかった。そこで
「おい、やめろ」
俺がそいつの手を止める。
かっけー!マジかっけー!一度こういうのやって見たかったんだよな!
「ん?なんだてめぇ、受付にいた奴じゃあねえか。しばかれてえのかっ⁉︎」
俺はそいつに腹パンをくらわした。意外にも知られていないが、科学部は戦闘の訓練を行っているのだ。
「お前らも嫌な思いしたくなかったら、さっさと去りな」
「「「ひぇー」」」
男達は不格好に逃げていった。さあて、ここからがメインイベントだ!
「君、大丈夫かい?」
ここからだよここから!俺が運命を作るんだ!
俺は定番のように手を差し出した。
「ああ、…ありがとうございます。おかげで助かりました」
彼女も手をとってくれた。
「怪我はないかい?」
「ええ、大丈夫です」
えーっと、あれ?次は?えーーーっと。
「あ、あの、本当にありがとうございました」
「え、あ、うん」
駄目だ!非リア歴=年齢の俺にはどうしようもできないのか⁉︎
「すみません、名前をお伺いしてもいいですか?」
「ああ、山出谷 学だ。君は?」
彼女は申し訳なさそうな顔をしながら言った。
「時雨 水色です」
ああ、この人が、ん?
「君、美術部だろ?なんで外から来たんだ?」
美術部ならもう、ホールにいるはずだ。
「えっと、その新しい絵を取りに行っててそしたらあの人達が…」
なるほど。そういうことか。
「絵、貸しな。展示しといてやるから、ホールに行ってきなよ」
「ええっ⁉︎でも、そんなの悪いですよ」
そんな事言われてもやるのが男ってもんだろ。
「大丈夫だ。俺は受付だし、首席みたいなお前が行かないわけにはならないだろ」
「じゃあ、お言葉に甘えさせてもらいます。今度、お礼しますね」
そう言って三枚の絵を俺に渡し、ホールへと向かって行った。
彼女が少し悪い微笑みをこぼしているとも知らず。
強そうな全身甲冑の騎士と今にも殴りにかかってきそうな赤鬼、魔女の様な美女が描かれている絵だった。。
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作業を終え、受付に戻って来た俺は説教されていた。
「遅え!遅えんだよ!」
夢呂日に怒鳴られた。ひょっとすると、夢呂日に怒られるのって初めてかもしれない。
「陰影も多分サボってるんだろ、迎えに行く」
「とか言って、お前もサボるんだろ?」
呆れた様に岳信が言った。
また、討論が始まろうとした時、ホールの扉が開いた。
外側からでは無く、内側から。
開いた扉からは、
…さっき絵で見た騎士が立っていた。
次回、動く絵と夢呂日死す⁉︎




