第十話 人の心
突然、夢呂日が輝きだした。何が起きているのか俺には全くわからなかった。
「大丈夫ですか?」
ふと、どこからか声がした。
「私です。安田です。今残った魔力を使って呼びかけています。一体何が起こっているんですか?」
「えーっと、今目の前で夢呂日が光っているんですけど」
「ええっ⁉︎」
先生はとても驚いているようだった。
「先生何が起こっているんですか?」
「・・・どうやら夢呂日さんは覚醒しているようですね」
覚醒?何だそれは。
「覚醒とは、感情がとても高ぶった時に発生するのです。まさかこんなに早く、そして谷川さんが最初に覚醒するとは…」
「先生、覚醒したらどうなるんです⁉」
「元々、谷川さんが持っていた透視能力に、さらに進化した能力が手に入ることでしょう。しかし、我を忘れ暴れまわってしまうはずです」
そんな、夢呂日が・・・あんまり何も起きなさそうだな。
「夢呂日さんは大丈夫ですか?」
「夢呂日‼︎大丈夫か⁉︎」
声をかけると光がたちまち消えそして、
「ん?大丈夫大丈夫」
やっぱりそうか。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「夢呂日!お前に新しい能力がついたはずだ!何か感じるか」
夢呂日が、キョロキョロこちらを見た時俺の方をじっと見てきた。
「お前、俺のことあまく見てるやろ」
は?
「何でやねん」
まぁ、確かに見ていたけれども。
「どうやら心が読めるようになったらしい。」
なるほどそういう事か。
「岳信。死ぬまでに刺身食べたかったなって思うな」
「はぁ⁉︎」
「陰影。頭の中で殺すを連発するな」
「えっ⁉︎」
「全くこいつらろくな事考えてないな。やれやれ、じゃあいきますか」
そして夢呂日のポージングそして吉川の黒い巨人の心を見たらしい。
「なるほど、吉川は今洗脳されてて、只今完全に乗っ取られていると。そして今心臓部分にいると。おいお前らまだ立てるか?」
ったく、かっこつけやがって。
「ああ、ここで倒れるわけがねえよ。」
「もちろん!ボコろうぜ」
「当たり前だ」
やってやろうじゃねえか。
「俺が銃で心臓を撃つ。だからお前らは周りの灰をばらばらにしてくれ」
「おっしゃあ!行くぜ‼︎」
「「「おう!」」」
俺たちは走って向かう。再び。敵のところへ。何でこんな事をしているのだろう。しんどいか?辛いか?いいや違うな。ただ単に、
「ただ単に、俺らで楽しく青春してるだけだろうが!」
後ろから銃が撃たれる。それは頭上を通り抜け、心臓へと当たる。
「くっ、」
巨人の体制が崩れた。チャンスだ。
「いくぞ!」
「おう!」「ああ」
陰影は短剣を投げ、、岳信は物凄い勢いで殴る。俺はビームサーベルで斬りまくる。
「どりゃあ!」
周りに灰が飛び散る。そして、
「おっしゃあ!でてきた!」
吉川がでてきたすると、
「よっと、」
夢呂日が、吉川を引き抜いた。
「おっしゃ、じゃあやってしまえ!」
ったく、一番いいところ持っていきやがって。
「おりゃあああああ!」
素早く斬りまくり、灰をばらばらに、形も残らない程に、そして戦いは終わった。
「ふう、」
疲れた。はじめての敵。まぁ、結果オーライって事でいいだろう。
「なっ、」
その時、夢呂日が驚いたような声をあげた。
「どうした?」
「えっ、いや、ちょっと、」
ん?ずいぶん言葉を濁すな。何があったんだ?
「こいつ、俺のこと好きらしい」
「「「えっ」」」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「おっ、起きた起きた」
岳信がはやしたてる。
「ん?あれここは?」
目を覚ました吉川が言う。
「えっ、谷川⁉︎」
「おう、お前は大丈夫か?」
吉川は顔を赤くし答えた。
「う、うん」
何だかぎこちない。
「おいおい、吉川、助けてくれた夢呂日に言う事があるやろ」
おいおい岳信。
「あ、ありがとう」
「ちげーよ、他に言う事あるだろ。お前の心に聞いてみろ」
やめてやれよ岳信。
「えっと、その、実は、」
まじか。俺のクラブにリア充ができてしまうじゃないか。
「夢呂日の事がその、好きなんだよ。」
きたー!口笛の用意。
「そうか、じゃあ付き合うか?」
「…うん」
「ヒューヒュー‼︎」
「「おめでとう!」」
こうして、科学部のリア充一号ができた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
あーよかったよかった。いい場面にいることができた。そして、岳信に日本に帰してもらおうと思った時。
「おし、じゃあ脱げ」
は?
「彼氏からの命令だ。脱げ」
おいそれは・・・吉川が赤面し、そして、
「やっぱ、あんた嫌い‼︎」
俺のクラブのリア充は10秒程度で消滅した…




