第九話 第一の使者
「山出谷さん。大丈夫ですか?」
「はっ!」
気がついたら広い平原で隣に先生がいた。
「うーん、先生〜。ここどこですか?」
「岳信が言うには、ヨーロッパのどこからしいですよ」
ふーん、ヨーロッパか〜。・・・えっ‼︎ヨーロッパ⁉︎
「何で私達、ヨーロッパにいるんですか⁉︎」
「そりゃあ、あなたが死んだからじゃないですか」
何で死んだらヨーロッパにいるんだ。でもそうだ。確かに死んだ。俺は死んだんだった。確か、吉川という奴に殺されたんだった。
「何で、俺は生きてるんですか?」
「そりゃあ、私が復活させたんですよ。天国に着いたら蘇生できないから、危ないところでしたよ」
そうだったのか。そんなことがなんかあった気がする。
「ところで先生。みんなは?」
「山出谷さんと清宮さんと上外さんが死んだ時2、3年生と私がかけつけて、まず、清宮さんを生きかえらせました。そしてまわりに被害がでないように、この辺にワープしてもらいました。全員ね。それで今あちらの方で戦っているはずですよ」
「先生!私たちも行きましょう!」
「すみません。流石の私も3人の蘇生をしたので、魔力が尽きています。ですから、あなた達で奴を倒してください」
くそう。やるしかねぇ。
「わかりました。頑張ってきます。」
「ええ、くれぐれも死なないようにしてくださいね」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
あれか⁉︎くそう、みんな大丈夫か⁉︎あれは・・・夢呂日か⁉︎
「おい‼︎夢呂日‼︎」
「おおー‼︎学‼︎大丈夫か?」
「ああ、それよりお前こそ大丈夫か?ここで何してるんだ?」
「俺はこの魔法銃を使って援護をしている」
「そうか、そういや、お前死んでなかったよな?」
「ああ、恐らくあいつは俺を殺さない」
「なんでだ?」
「幼馴染だからだ」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「あいつの能力は高速移動」
夢呂日はそう言った。だから俺たちはあっけなく殺されてしまったのだ。
「だから気をつけろ」
俺は戦っているみんなに近づいた。ビームサーベルを片手に。
「お前ら!大丈夫か?」
先輩達はボロボロだ。しっかり戦えているのは岳信と、陰影だけみたいだ。
「おお!学!お前のビームサーベルで斬ってやれ!」
「頼んだ」
そして俺は、
「どりゃあああ!!」
右足に力を入れ俺は吉川に飛びかかった。
「少しは、強そうな奴が来たね」
俺はビームサーベルにビームを流し起動させる。相手も剣を持っている。そういえば夢呂日も言っていた。
「あいつは剣道が習っている」
だからといって、負ける訳にはいかない。
俺のビームサーベルの良さは、まず斬れないものはない。ダイヤモンドだって、簡単に斬れる。しかし、短所はビームサーベルで、剣同士のせめぎあい、防御ができないということだ。
「そりゃ!おりゃ!」
攻撃して、回避するの繰り返しだ。
「岳信!陰影!援護を頼む‼︎」
「「おう!」」
岳信が殴りにかかる。陰影が、遠距離でナイフを投げる。そして俺が斬る。
「くっ!」
いい感じだそのままと思った時、
「バーン!」
遠くからの夢呂日の銃が当たった。吉川は倒れた。死んだ?勝った?でも、こんなの嬉しくないぞ。と、悲しみに浸ろうとしたその時、
「さすが、夢呂日の仲間だね。だけど、これはどうかな?」
すると、黒い灰のようなものが集まって来て大きな巨人になった。
「ははは、いいねその顔。その絶望した顔。携帯のホーム画面にしたいよ」
なんでそんな具体的なんだよ。しかし、そんなこと考えてる場合ではない。
「くそっ、もう一度行くぞ!」
俺たち3人は飛びかかった。しかし、大きな手で吹っ飛ばされた。畜生、立ち上がることもできない。吉川が作りし巨人は何も喋ることなく俺たちを殺しにかかった。こいつに2回も殺されるのか。そういやこいつ、幼馴染だからっていう理由で夢呂日を殺さないのか?
「お前、」
遠くで援護にいるはずの夢呂日だ。でも、いつもと様子が違う。
「お前‼︎」
そして、夢呂日が光輝きだした。




