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そろぼちぼっち。  作者: みなみ 陽
狭間で揺れる
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禁忌

同じような景色が俺の横流れていく中、気付いてしまった。

俺は、あまりにも…中途半端だ。

復讐を誓って…それが俺に与えられた機会だというのに、何故か躊躇っている。

それは、雛乃と再会したから、話したから…自身の意思の弱さに腹が立った。

いつから…俺はこんな人間になった?前は、こんな事は無かった。

…今の俺はどうだ?

ただ雛乃の俺に対する想いを聞いただけだ。それだけで揺らぎ躊躇っている。

それが、正しいとか間違ってるとかでは無い。

俺の行動において、相手の気持ちなどどうでも良いと思っていたのに…何が俺をこうさせるんだ?

入り混じった感情の中、また、ビリビリという痺れが俺を覆う。

何なんだ…眠っている間に、何か俺は変な病気にでもなってしまったのか…?

それに何だか息苦しい。

この道に入ってから…体が重い。

「もう少しで…着きます!急ぎましょう!」

その声は弾んでいて…明るい。

雛乃はそう言って、たったと走り出した。

俺もそれに着いて行こうとした。だが、体が余りにも重すぎて歩くのも…苦しい。

必死に1歩踏み出そうとするが、まるで足に縄を結ばれているかのように、前に進む事を許さない。

それが何度も繰り返される。

不自然だ…これは…何かがおかしい。

そう俺が苦しんでいる間にも、雛乃はどんどん遠くに消えていく。

手を伸ばしても、俺にはもう届かない距離だ。

声を出そうにも息が苦しく、口をパクパクと動かす事しか出来ない。

待ってくれ…置いて行かないでくれ…。

叫んで伝えたい。でも、それが出来ない。

その時を待っていたかのように、強風が俺を襲う。思わず、目を閉じてしまう程の風。そして、それは只の風では無い事くらい分かった。あまりにも小さい出来事で忘れていたが、これは2度目だ。

目をゆっくりと開ければ、そこは、言葉で上手く言い表せない不思議な…神秘的な空間が広がっていた。

こんな芸当出来るのは…俺が知る限りで奴らしか居ないが…奴らは極めて卑怯だ。それも無意識に。

俺とやっている事は大差無いのに、俺を否定し、自分達まるで正義だと言い張る。

決して、自ら手を下したりなどしない、絶対に。同じ憎む相手が現れたら、そいつに徹底的に協力して、事が終われば、そいつに全て押し付ける。

立場を利用し、悪用する奴ら。かつて、奴らは神として崇められていた。

俺は不思議で仕方なかった。何故、こんな奴らが崇められるのだろう?こんな奴らが集める注目など俺が貰っても誰も違和感など感じないだろうと思った。

だから奪ってみた。そうしたら案の定…。

その時利用していたのは男だったかな。しかし、利用した相手が悪かったのか、呆気無くすぐ終わった。

奴らは、慌て、致し方無く俺を消そうとした。その時にも俺はこの空間に連れ込まれた。全く同じ手段で。

しかし、奴らは弱かった。生ぬるい世界で生きてきたからかと思った。

殲滅した後、俺はその空間から解放された。でも、その解放される瞬間、2人の人影を見た。

でも、今までは居なかったから、その瞬間に来たのだろうと思う。

だからお互い顔を見ていない。

でも、頭に声が響いた。

『絶対に…許さん』

どっちの声だったのか分からなかった。女だと思えば、女だが、小さい方の声だとも思う事も出来た。

…ここに呼ばれるという事は、つまりあの時の復讐と言った所か…執念深いな。

利害が一致する相手でも現れたか、それとも…子供の方はそんな卑怯な血は継がなかったかな…?

そんな事を思い出しながら感慨に浸っていると、すっかり体は軽くなって、息苦しさも無くなって居る事に気付いた。痺れはそのままだが…。

すると、遠くから小さな人影が現れた。

「おらは…やっぱりお前を許せねぇ…全てを奪ったお前が…じゃけぇ…この命の全てに代えて…禁忌を犯す。もう、おらは神でも何でも無い…いや、最初からおら達は神でも何でも無かったんじゃ…ただ永く生きていくための手段としてそうしとっただけじゃわ…。でももう無理じゃ…何も無い地獄じゃ…生き地獄なんかより、死んでから地獄に行く方がずっとマシじゃ…。姉ちゃんは甘過ぎる…やっぱりおらにはどうしても許せん。というわけで…全力で…正秋…お前を消しちゃる!!!!!」

そう言って、奴は龍の姿になって俺に向かって炎を吐き出す。

その炎はゆっくりとこちらに向かう。結局日向の言う通り、頑張って鍛えたけどこんな事くらいにしか、成果を感じる事しか出来無い。

俺は、炎を躱す。それが俺の横を通り抜けた時、とんでもない熱さを感じた。

こんなのが直接当たったら…俺はどうなってしまうだろう?もう、この世には居ないかな。

小さい方は、後者だったようだ。まぁ、こんな期間、力を溜め込んでいたものだ。とんでもない程の力を感じる。あの大勢だった卑怯なお前の家族達と違って…1人でこれ程の力を使えるとは…。あの時、お前が居なくて良かった…フフ…。

「楽しみですよ…でも、もうどうなっても憎まないで下さいね…”神様”。」

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