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そろぼちぼっち。  作者: みなみ 陽
短命の人生行路
5/59

行動はお早めに。

どれくらいの時間が経ったのかは、正直よくわからないが、クラスメイト達の声で、山吹の高速ページめくりの音が、聞こえにくくなってきているので、それなりに経ったんだろうなぁ、と思った。

俺が、時間をちゃんと確認しようと、顔を上げた時だった。

周りの沢山の女子が俺を囲んでいた。いつの間に!?

「結城君、おはよー!起きてたんだ!てか、また同じクラスじゃね!よろしく~!」

嘘だろ!?こいつが、またいるのか!?いつも、絶対に金曜日に、嫌がらせレベルのラブレターを送ってくる安藤優、バスケ部で典型的な活発少女という感じだ。こいつが、また同じクラスなのか!?厄介だ…。や、どうせ違うクラスになっても、やってくるだろうが…。

「初めてこんなに近くで見た~!イケメンじゃああ!ふぉおお!!!!!」

…誰だ?

「ちーちゃんと優だけずるいわ~、私も顔を拝ませてくれ~。」

そう言って、俺の前に居たちーちゃんという女子と、安藤の間に割って入る。

「真正面はいいな~!うんうん!」

眼鏡を掛けた優等生っぽいけど、多分性格は、かなり弾けてるんだろう。

他にも何人か居たが、こいつら以外が話しかけてくるような素振りはなかった。

多分、この3人がクラスのトップ的な位置なんだろうな~。女子に死ぬほど囲まれてわかったが、こういう場合の女子は、どれだけぐいぐい行ったとしても、誰にも咎められないようなオーラをかもし出してないと無理。広島に来て、1年ちょいで、そういう推理に至った。

「で?なんか俺に用でも?なんで俺を囲ってんの?煩いんだけど。どっか散れよ。」

最大限に、うざく言った。言ったのに。

「散れと言われて、散る花はありません!」

「そうそう!」

「あ、そろそろ、始業式始まるからさ~。結城君も、早めに移動よろしく!皆も急いでね~!行こ!」

優等生風女子は、くいっと眼鏡を上げた。こいつは、これがメインだっただろ。絶対。

それを聞いて、女子達は、「本当だ!」「やば!」と色々会話をしながら、すたこらさっさと、体育館へと向かっていく。

そういえば、時間を見るのを忘れていた。始業式が始まる10分前。いつも、先生が10分前行動~!と煩く言う。俺には中々身に付かない。時間には、どうしてもルーズになってしまう。

そろそろ行くねぇと厄介だなと思い、俺は、ゆっくり席を立った。

俺は、ちらっと山吹を見た。まだ、本を読んでいる。大丈夫か、こいつ。あれか、自分の世界に入ると周りが見えにくくなるタイプなのか?

「おお、あと俺らだけだったんじゃん、危ね!最後の人、鍵閉めよろしくー!」

坊主の男子が、俺は絶対鍵を閉めたくないと言わんばかりに、颯爽と教室を飛び出した。

ったく、閉めるだけだろ?何かめんどくさいことでもあるのか?

山吹も相変わらずだし…。仕方ねぇ…。

「おい、山吹、鍵閉めるから。さっさと体育館行け。」

すると、山吹は、ゆっくりとこちらを向いた。

「大丈夫だよ。そんなに急がなくても。時間はまだ…、進まないから。」

「は?」

山吹の意味不明な言葉に、は?としか言えなかった。

時間はまだ進まない?なに言ってんだ、進むだろ。進んでるから、皆急いで体育館にGOしたんじゃねぇのか。てか、こんなにのんびりしてたら時間が…。

って、まだ10分前か?あれ…?少なくとも、3分位は経ったと思ったんだが…。

俺の勘違い?頭が混乱してきた。

「…冗談だよ。ごめんね、私が鍵を閉めるから、先に体育館に行ってて…。」

髪の先をくるくる弄りながら言う。

「早くこいよ。」

「うん。」

なんで、このタイミングで変な冗談ぶっこんでくるんだ?ま、急ぐか。

俺が、教室を出て走り出そうとしたタイミングで、体がふわっとなる感覚に襲われた。

そして、どう説明したらいいのか、わからないが、気付いたら俺は、自分のクラスの列に並んでいた。



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