Sleep tight
俺は、あんな女から見ても、どうしようもない人間で、住民として暮らしていたこの姉弟から見ても、どうしようもない人間だった。お姉さんにさっき、一部の偏った人達の意見から、自分を判断しないでと言われたが…他の人の意見を聞いても、こんな事しか言われない気がする。
「あ、来た!遅いわ~!」
熊とのそのそと現れたのは、金髪で長髪の白衣に身を包んだグラマラスな女性だった。外国人だろうか?漫画とかに出てくるTHE医者みたいな感じで、雰囲気はその…セクシーだ。
「私もね、この辺りのひっそりと暮らす人達の面倒を見なきゃいけないんだから…まぁ、急病人だって言うから、来てあげたけど…。」
そう言って、彼女は、前髪をかけ上げると、俺の頭の場所までやって来た。
「あらぁ~、酷い怪我っ!」
彼女は、俺の頭にゆっくりと手を伸ばす。
ビリリッと激しい痛みがした。
「ぐあっ!」
「うふっ、ここが一番酷そうね、此処は?」
そう言うと、頭のまた違う場所を触る。その度に俺に電流が走るような痛みが襲う。
「あ゛あ゛っ!」
「いや~ん、重症じゃないっ!おやおや、お膝も怪我してるわねぇ、でも、こっちは大したことなさそう!やっぱり、頭が本命!」
また、俺の頭に彼女の手が伸びる。
「や…やめ…てくれ…。」
自分でも情けない程の声が出た。
「そう言われると…もっと触りたくなっちゃう!それにやめてくれじゃないでしょ?人に物を頼む時は…どう言うのかなっ!?」
両手で俺の頭を掴む。刹那、心臓が止まりそうな程ビリビリと痛みがマッハになる。
「う゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!」
俺の声が夜の山に木霊する。
「テレサ…あまり苛めんといてあげて…エネルギー源なのはわかるけど、それはテレサがよう見とる分で賄えるじゃろ。」
「GIVE AND TAKEの精神よ、エネルギーを頂いて、それで治療の力を強めるんだから。これだけ大怪我なんだから、ガソリンがいるのよ。うふふ…、痛かった?ごめんね、少年。」
今度は優しく俺の頬を撫でる。鳥肌が立った。
「No Problem…ハハッ…。」
必死に笑顔を浮かべる。
「何言っとん???おらにはさっぱり分からん。」
「うちも分からんわ。」
「それでは…治療を始めるから…私の集中世界に誰も入ってこないでね。」
真っ赤な唇が、きゅっと上がる。そして、彼女が俺に対して手を向けた。突然、とんでもない眠気が襲ってきた。俺の瞼は、俺の意識に反して落ちて、俺の意識もまた、深い奥底へと沈んで言った。
「Sleep tight…。」




