姉弟の中の自分
「ろくでもない人間…ほんと、その通りじゃ。どうしたら、あがな事が平気で出来るんか、おら達に教えて欲しいわ。でも、それを覚えとらん言うんじゃけぇ…。お前お得意の小芝居かと思ようたけど…、流石に死にかける程まではせんわいの…まさか、おらもあそこで半殺しに出来るとは思わんかったし。」
そう言うと、俺を殴ったであろう漬物石くらいの大きさのごつごつした石。その表面には、俺の血であろうものが大量に付着していた。
「うちは止めんさいって言うたんよ。龍は、力はつけたんかもしれんけど、まだ到底敵う相手じゃないんよって。でも、勝手に行ってしもうて…このままじゃ、龍がやられてしまうかもしれん。とりあえず、土下座でも何でもして見逃してもらおうと思った。じゃが…うちが行った時には、予想外の光景が目の前に広がとって…、ほんま龍反省しんさいよ。」
「わかったよ、わかったって。」
昔の俺は強かったのか?今の俺は貧弱そのものだが…。土下座でも何でもって…相当俺やばい奴だ。でも、この二人は、俺の事を知っている…なら、教えてもらえるかもしれない。さっきから、ちょいちょい昔話をしてるし。
「あの…教えて欲しい。二人が知っている俺の事を、全部。」
「いいぞ、まぁ…半殺しにしたし…その侘びじゃ。」
餓鬼の方は、快諾してくれたが、お姉さんの方は、眉を顰めて悩んでいるような表情だった。
「あのお姉さん…。」
「え?あ…ごめんね…。うちらの知っとるのは、一部でしかない。あんた何も覚えとらんって言っとったし…。自分の人物像を自分で把握出来とらんって事じゃ…。あんた、ろくでもない人間ってよーたけど、それって、誰かから聞いた話?もしそうじゃったらさ…うーん…なんて言うんかね、偏った人の話から見える人物像って本来の人物とは違うと思うんよね。じゃけぇ…うちらの話からさ、自分はこういう人間だったって全てを決めんといて欲しいんよ。うちらとあんたは、お互い顔は見た事ない。でも、うちらはあんたが嫌いじゃった。じゃけぇさ、うちらは、あんたの悪い所しかわからん。悪い話ばっかりでもええんだったら、包み隠さず、正しくうちはちゃんと話す。」
お姉さんの目は、真剣そのもので、その言葉に嘘は無いと思った。
「おう、おらもだ。」
相変わらずこっちの餓鬼は、面倒臭そうに言うが、まぁ…嘘はつかないだろう。嘘をついたらお姉さんが止めるだろう。
「…構わないです、教えて下さい。覚悟とか、とっくに出来てるんで。」




