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そろぼちぼっち。  作者: みなみ 陽
短命の人生行路
23/59

ヒーローと逃亡者

先生と話をした後、がっくりと肩を落としながら、帰路についた。そして、俺は完全に詰んでしまったと気落ちしていた。

先生が言っていた協力者…、朝学校で俺の姿を確認できる所に居た奴か…。

俺の脳裏には、やはり安藤と闇雲の顔が浮かぶ。

でも、安藤は頭の螺子5本ぐらいぶっ飛んでそうな奴で、闇雲はただの良い奴感が滲み出てて、どちらもとても協力者とは思えない…。この考えは甘いだろうか?ちゃんと聞いた方が良いのか…?怪しい芽は片っ端から摘み取らないといけないような気もする。

そういえば、闇雲は陰から俺を守るとか言ってたが…本当に守ってるのか?

俺は、立ち止まって周囲をきょろきょろと見渡してみるが、居ない。

本当に守ってくれるのか?それとも口先だけ?でも、あいつの表情は…真剣そのものだったよな…。俺も、ああいう思考になれるような人間だったらな…、俺のしている事は逃げそのものだ。闇雲だったら、守ってるだろうな…。そして、傷つける側を成敗する…。なんとなく想像出来てしまう。俺には、そんな勇気も考えも無かった。俺が、誰とも関わらない事で、俺のせいで傷つく人が居なくなるように…。でも、それは中途半端だ。俺はなんとなく気付いていた。俺は、学校でぼっちぼっちする事、それが薔薇色学園ハッピーライフだとか思い込む事で、それが幸せだと錯覚しようとしていた。でも、それは勿論本心なんかじゃない。だからこそ、こんなにも人と関わって生活してきてしまっているんだ…。駄目駄目だな俺は。いっそ、闇雲みたいにヒーローキャラ気取って、明るくなって友達作って、そろぼちぼっち気取りやめようかな。いや…無理だ、無理無理。今更、キャラ変とか無理だ。でも、今のままみたいに中途半端なのはどうなんだ…?

俺は、今の俺の在り方について考えた。こんなに中途半端で意味があるのだろうか?本気で全ての人と関わらず、独りになりたい、ぼっちになりたいんだったら…。

ぐうぅぅぅうぅぅうぅぅう~~~

盛大にお腹が鳴った…そうだ、俺お腹空いてたんだよ…。空腹すら忘れてしまうくらい、思い耽っていたのか。

「うふっ…。」

俺のお腹が盛大に鳴ってすぐ、少し後ろから笑い声がした。

不味い…誰かに聞かれたか?

恐る恐る後ろを振り返る。

「雛乃か…。」

雛乃だと知って、安心してしまっている自分が居た。

「お前、いつからそこに?」

「結城君のお腹が鳴るちょっと前くらいからかな、うふふ。」

「はぁ…、やっぱ聞いてたか。」

手を口に当てて、くすくすと悪戯っぽく笑う雛乃、つまりがっつり聞いてたって事か…。居たの全然気付かなかったな…。

それにしても、何かまた違和感を感じる…何の違和感だ?体育の後と同じ違和感なんだよな…何だろう。

「お腹空いてるのは本当だったんじゃね、だったら…その…か…カフェでも行かない?」

「行かない、俺は家の手伝いがあるから、さっさと帰らないといけないんだ。」

カフェって、学校の奴に見られたら誤解されそうじゃないか…。

「そ、そうですよね~…、あ!じゃ、じゃあ!おにぎりあげる!」

そう言うと、雛乃は背負っていたリュックから、がさごそと漁ってラップに包まれたおにぎりを取り出した。

「え…。」

「残り物をあげるようでごめんなさい、でも体育の時間目眩するくらいお腹空いとったんでしょ?だったら…食べた方がいいと思う、すぐに食べれてお手軽だよ。」

そう言って、差し出されたおにぎりは、きらきらと輝いて見えた。白いお米が俺を誘惑している。

思わず俺は、そのおにぎりを手に取ってしまった。

さあ、食べて!と言わんばかりのおにぎり…これはおにぎりが悪い。美味しそうにしてる方が悪い。

俺は、おにぎりにかぶりついた。


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