表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
そろぼちぼっち。  作者: みなみ 陽
短命の人生行路
18/59

昼休憩

1時間目…2時間目…3時間目…4時間目…とゆっくりと授業が進み、ようやく待ちわびていた昼休憩だ。何かを待つというのは、久しぶり過ぎて感覚をすっかり忘れていた。

待ち時間は、凄く長く感じるもんだよな…。逆に、待ち時間の後になったらめっちゃ時間速く感じたっけ…。ま、さっさと…行くか。

俺は、怪しい人物…御手洗先生の居る保健室へと向かうため、足早に教室を出た。保健室は、本館の1階にある。なので、廊下を渡って行かなければならない。

先生は、かなりふわふわ緩そうにしてるけど、本当は人の事をよく見て観察する、だからこそ人のちょっとした変化にも気付く…ある意味怖い先生だと思う。そんな先生が、あの女と関わりがあったとしたら…。

そんな事を考えながら歩けば、あっという間に保健室に到着してしまった。

俺は、保健室の入り口を音がしないように、ゆっくりと開けた。(これは先生が言っている保健室のルールだ)だが、先生の姿が見えなかった。電気はついていて、鍵も開けっ放しだったから絶対に居ると思ったのに…。

俺は、そのまま真っ直ぐ奥へと進んだが、やはり、先生は居ない。それに、保健室に来ている生徒も居なかった。

これは…チャンスじゃないか?

俺は、先生にどう聞くか、授業中にずっと考えていたが、いい感じにしっくり来る聞き方を思いつかず、とりあえず、朝に、学校で不審者を見たんですけど、怖くて、他の先生に信じて貰えるかどうか不安だから的な感じで、とりあえず探ってみようと考えていたのだが、あの先生だ。上手く誤魔化されて、失敗に終わる可能性の方がずっと高い。そう考えたら…こっちの方がまだ…でも、証拠なんて、先生が残してる可能性なんて、限りなく低い。直接か間接かの差しかない。可能性は、どっちも一緒だ。

とりあえず、先生の机でも見てみるか。

先生の机は、今俺の真正面にある。つまり、先生が入ってきたら、何をしているかバレる。だから、急ごう。

まず、机の上は、きちんと整理されていて、とても探しやすかった。だが、らしきものは無かった。

次に、この机に唯一ある引き出しを開けた。そこにあったのは、やけに古いノートと、今までの保健便りしか無かった。手帳みたいな重要なもんは、流石に置かないよな…。そもそも、先生は怪しいだけで犯人と決まったわけじゃない…。あの女の持っていた資料には、もっと沢山他の人の資料もあったかもしれないし…沢山の資料の内の一枚を見たら、偶然先生だったっていうだけだ。確実な根拠なんて、無い。

でも、その偶然に望みを賭けるしか無かった。

俺は、諦めて引き出しを閉じようとした、だが、やけに古い紙の束が気になった。

それは、日本史の教科書や資料集に載っているものに似ていた。なんでこんなもんが…?

思わず手に取って、ページを捲って内容を見てみた。

中身はかなり黄ばみ、一部破れている部分もある、しかも文字は墨で書かれている。これってかなり古いものなんじゃ…。

なんて書いてあるんだ?こりゃ達筆だな…。相当書き慣れてないと…。

『罪は死を持って償うべきだと言われますね。だけど、私はそうは思わない。お前は生きて生き続けて、その奪った命の分まで』

書いてある事は、こんな感じだな。自慢じゃないが、俺はこういう古文が普通に読める。

ちょっと前までは、記憶が無くなる前から得意で読めるのかな~みたいに思っていたが、そうではないみたいだ。あの女の話を鵜呑みにすれば…俺はこのあたりから…。

って、読みふけってる場合じゃない!今、俺はこの古いもんを読んでる暇無いだろ!何やってんだ俺は!

俺は、慌てて古い紙の束を元の位置に戻した。

すると、それと同じくらいに保健室の前に人影二つが見えた。先生と同じくらいの身長…間違い無い!先生だ!やばい!

急いで、引き出しを閉じて、机の椅子に座った。

座ったと同時に、ドアが開いた。

「あれ?結城君?どうしたの?」

先生は、俺を見るなりそう言った。そして、先生の後ろには他の生徒が居た。

「いや、そうじゃないっすけど…また今度来ます。」

今、この話は出来ない。今度は放課後かな…。

先生は、体調の悪そうなその子を連れながら、こちら側へと進んでくる。

「そう?分かった。もう体調とかの方は大丈夫なのね?」

「体調はもう全然。じゃ、失礼しました。また、放課後。」

俺は、ゆっくり席を立つと、ドアの前まで行きながらこう答えた。

ゆっくりとドアを閉めて、俺は安堵の息を漏らした。

良かった…見てる間に来なくて。にしても、あれなんだろ?ちょっと怖い内容だったけど…。

-キーンコーンカーンコーン…キーンコーンカーンコーン~-

やば!予鈴じゃん!あと5分で5時間目!?そんなに俺…保健室に居たのかよ…。

とにかく急いで、パンを食おう!食わないと多分授業中に空腹で死ぬ!

腹が減っては戦は出来ぬ、俺は颯爽と教室へと走り出した。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ