付き人でして
「……こんにちは」
「今日もいい天気で何よりですね」
あれからもう10年近くたとうとしています。
今まで特に竹千代、今では元康と言われてますが……とはあまり大きな関わりもなかったんだけど。
なぜか、去年から私の付き人みたいなことをしているのである。
あくまで人質とは言っても、岡崎の城主の息子がだ。
しかも嫡男。
「毎日毎日お疲れ様。
……だけど貴方も好きなことでもしたら?」
「好きでしていることですから」
……こっちの気持ちを分かれよ‼
叫びたい、おらびたい。
だけど出来ない。
「この前は久しぶりに椿姫を見かけました」
「ふぅん」
そう、椿姫は。
私はあんなに止めたのに、好きな殿方にストーカー……もといアピールを毎日毎日飽きることなくしている。
「椿姫も良くしますね。
……今川の姫ならば、その人と結ばれるとは分からないのに」
結ばれちゃ私が困るのだ。
最近本格的に私か椿姫をこの元康に嫁がせようと義元さまはしている気がする。
そのためにも椿姫がいなくなれば消去法で私はほぼ決定してしまう。
……いっそのこと、氏真さまが嫁げばよろしいのに。
「……某は、立派な武人になります」
「はぁ」
何故こんなに意気込んでいるのか。
私には想像もつかなかった。