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第62話 俺たちの冒険はこれからだ! 

今までご愛読有難うございました。



かーらーのー! 引き続き、お楽しみください!!(ドンッ)

ちょっと個人的な理由によって色々と余裕が無くて書けませんでした……が、

その“色々と”に余裕が出来てきたので大丈夫です。大丈夫です……大丈夫かな……大丈夫!


ブクマは決して多くは無いですが、その重さに変わりはありません。

ブクマしてくださった方々のために、何より自分のために、ちゃんと完結させる所存でございます。

 それなりに科学技術は発展していた方だと思う、俺たちが生まれ育った世界は。

 なので、極々一部の例外を除き、我々人間が迷子になるという事は無かったのだ。

 携帯端末にプリインストールされている地図アプリを起動。目的地を音声入力。あとは出力された地図を眺めて目的地を目指せばそれでオーケー。


 余談だが、俺の妹に関して言えば、彼女はどちらかというと“極々一部の例外”であった。彼女は決して地図を読めないわけではない。それそのものの使用をしたがらなかったのだ。

 彼女曰く、“文明の利器という鎖に縛られたくない”。

 文明の利器に頼る事自体が悪いのではなくて、それに頼りっきりになるのは危険であると、そういった意味を込めての言葉らしい。


 しかし、しかしである。彼女は、幼馴染の成神、その友人の塩見や芦尾、雨飾と良くテレビ電話をしていたみたいだ。

 まったく、文明の利器サンにに頼りっきりのおんぶに抱っこではないか。それに加え、インターネットで動画を見るのも大好きときたもんだ。これはもう、言い逃れは出来まいよ。



 だけども……。

 今俺は、その“鎖”に縛られたいのだった。

 これは俺が超弩級のマゾヒストだからではない。

 今のおれが縛られたいのは、地図アプリケーションという文明の鎖である。


「縛られたいなぁ……」

「はぁ?」

 虚空に見た便利な世界だったけど、俺の独り言はただのドMでしかなかった。

 それを塩見が聞き、諦めにも似た空笑いをするのであった。


「あはは……。ねぇ、成神ちゃん。和人……いいえ、和子ちゃんが何か言ってるよ。疲れすぎておかしくなったのかもしれない」

「ああいうのはかかわらない方がいいよ」


「和子って誰だよ! 見た目女だけど中身は俺! おーれ!」

 和子では無いが、確かに疲れすぎておかしくなったというのは間違いではないのかもしれない。



 疲れた。

 何度の夜を超えたのだろう。

 というのは多少大仰ではあるのだが、まぁ何も無いのだ。ほとんど砂漠である。その砂漠みたいな荒地をただただ進むのだ、おかしくなっても、おかしくはない。おかしい。おかしいけど、おかしくない。


 指輪に宿った元魔王がかつて治めていた国。おれたちはその首都へと足を向け、そして足を棒にしているところである。


 指輪の魔王が感じ取った事のある“俺と良く似た魔力の波動”。それを感じ取ったのがその首都がある方角だという。

 しかし、その時でさえ断続的な発信であった上に、今現在はそれがまったく感じ取ることが出来ないというから困ったもんだ。

 ビーコンのように常に発していてくれるならば探しようがあるが、今はとりあえずその首都。いや魔都とでも言った方がいいのだろうか。となにかくそこへと向かわねば。



「あちゅい……」


「縛られたいとか赤ちゃん言葉とか、気持ち悪いわ。ねぇ成神ちゃん、和子しばいていい?」

「いいよ塩見ちゃん、勝手にしばいちゃって」


 しばかれのはいいさ。けれども、流石の俺だって四六時中しばかれたいという欲求があるわけじゃない。今はとりあえず何か食べたいし、飲みたい。出来れば柔らかいベッドの上で休息したい。


 つらい時にしばかれるのは、ただの拷問だ。


「あちゅい……あちゅい……あ、そうだ、携帯……」

 こんな事もあろうかと持ってきた携帯端末であったが、“ネットワークが見つからないよぉ”との表示がされており、その“こんな事”があったがなんの役にも立たない。時計は相変わらず表示されているが、合っているのかどうかも分からずじまいであった。


 電池長持ち過ぎ!

 電源をオフにしていた時期も長いが、一番の原因は“ネットワークが見つからないよぉ”にあるのだろう。おそらく、休止状態なのだ。この状態なら基地局からの通信が無い限り電波も発信しない。


「はーいぐーぐー、首都まで案内して」

「電波ガミツカリマセン。電波状態ノヨイ場所マデ移動シテゴ利用クダサイ」

「ですよね。分かってた。分かってたよ」


 よーし、携帯がダメなら、もうひとつ秘密兵器があるではないか。それを使おう。

「はーい、まおー、首都まで案内して」

「お主ワシを何だと思っておるんじゃ」

「地図アプリになれよこのやろぉぉ……無理なら道案内の出来る精霊でも呼び出してよ!」


「え、なにやってるの、和……和子?」

 俺が指輪に話しかけてるもんだから、近くにいた成神はいぶかしげに俺に視線を送ってくるのであった。さっきの事もあるし、余計に。


「いいだろ、別にぃ。独り遊びだよ、独り遊び。あの、あれだ、人形のケツに腕ぶっさして顎とか奥歯をガタガタさせるアレだよアレ」

「腹話術かな?」

「そう、それ。腹話術。新入生歓迎会でやろうかなぁって考えててさ」

「帰れればね……」

「うむ……」


 俺たちの冒険は、始まったばかりである。

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