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第61話 着替え終わってた

もう好きな様に書く! 何も考えない!(´^q^`)

間が空いてしまいました、本当にごめんなさい。

でも頑張ります、完結させます。

 こと異世界において、“何々よりも、何々だ”という例え方はとても扱い難いものだと思う。転移組内での会話なら問題は無いが、案内所職員とのやり取りでは大分苦労した。

 ……日本語が通じるのが、唯一の救いか。それでも文字に関しては別物であるが。文法は恐らく同じ。


 とまぁ、それは置いてといて!

 そのやり取りで苦労したのは、多種族が共存している特殊な環境である事が一因と言える。

 とにかく、色んな人がいるのだ。

 一口に獣人族と言っても、小さいのから、ハミちゃんみたいな大きいのまで。外見に関しても多種多様。猫耳は見た事が無いが、多分いるのだろう。

 何故か?

 犬耳をこの前見かけたからである。


 というか、異世界であるならば、“犬っぽい耳”とかおかしいよな。だって、俺たちがいた世界とは異なった世界なんだよ。それなら、その世界とは異なった動物、生態系じゃないとおかしい。

 植生だって元の世界と大差無いし。お米だって在ったくらいだし。小麦だってそう、芋だってそう。あれはジャガイモ以外の何物でもない。凄く美味しかったし、ホクホクして。バターもあった。

 そういえば、牛もいたな。


 まぁとにかく、例えるのって凄く難しいのだ。

 例えば、ここでの警察にあたる衛兵に悪人の情報を伝える機会があったとしよう。背丈を伝える際に、極端に言えば“電話ボックスくらい”なんて言えない。“はぁ?”ってなる。


 この今居る試着室は、俺たち基準で例えるとするなら、半畳ほど。

 1人であるなら狭くは無い。2人であっても狭くは無い。3人だったらちょっと狭い。

 4人だと、狭いなぁ……。密集度で言えば都内の満員電車のそれよりはマシだ。


 今は成神と俺の2人。

 決して狭くはないし彼女の事が嫌いなわけじゃないのだけど、息苦しいというか何というか、こちんこちんに緊張するのである。

 世界から隔絶されたちょっとだけ狭い部屋で、2人っきり。しかも目隠しをされている。こればかりはどうしようもない。

 俺の体が男子のままだったなら、今とても言い表せないくらいに大変な事になってただろうなぁ。敢えて言い表すとするならば、“こちんこちん”。


 はい、それはとても下品です。

 口に出したら、確実に成神のアストルコリジョンが待っている。

 アストルは天体、コリジョンは衝突。天体衝突並みの打撃を、俺は受け流せるだろうか?

 彼女の拳は爆発成形侵徹体みたいなもんだ。いや、実際は違うけど、とにかく言えるのは被弾傾斜なんて在って無いような物。受け流すなんて不可能なのだ。俺の腕に、腹に、戦車の正面装甲が張り付いていても。




「あのさ、成神さん、目隠し怖い。すごく怖い。これから何されちゃうのかな、って」

「“何されちゃうのかな”じゃないわよ、あんたが何しちゃうのか心配だからこうしてんじゃない。仕方ないでしょ。独りにしたら、きっと変な目で自分の身体を嘗め回すように見るでしょ。それはちょっと、色々問題あるもん」

「自分の身体なんですけどぉぉ……」

「あんたの身体はあんたの身体じゃないの! ダ・メ!」

「俺は一体何者なんだ……!!」

「強いて言うなら馬鹿者じゃないかな」



 長年……と言っても一年未満だが、連れ添った上着がスルリと俺の身体に別れを告げた。

 この部屋には、成神の衣擦れ。そしてちょっとの静けさ。その静けさってもんが、俺の拍動の激しさを際立たせているみたいだ。加え、目隠しの暗闇がそれを強調させているようである。


 うーん、不適切。

 


 するりと、上着が俺の体に別れを告げた。この部屋にはただ、成神の衣擦れの音。そして、俺自身が感じ取る、この身体の拍動。目隠しの暗闇が、それを殊更強調する。

 俺自身が、この状況を適切でないと感じているのだろう。不適切な関係という奴だ。


「これよくないよ、よくない」

「何が!?」

「俺男だよ? 男女がさ、こんな……こんなことさぁ! ちょっと、ほんと、これダメだって。不適切だって」

「自分の身体を嘗め回すように見る方が不適切だから問題ないよ」


 なんも言い返せねぇ。

 俺の上半身を難なく肌蹴させた成神が、なにやら唸っているようである。“うーん、うーん”と繰り返す、彼女は。

「なんだよ……」

「私より大きいからムカつくし、なんかムカつく。更にはムカつく」


「アハハー……そっか、そっか、なるほどな……。それはまぁ、なんだ、気にするな」

「アァァスゥゥトォォォル……」

「やめろぉぉぉぉ俺に罪は無いけど店にだった罪は無いんだから! やめて、壊れる、色々壊れちゃう

!」


 昔から星を眺めるのが好きでした。真夜中に郊外へと自転車を走らせ、街灯の無い空を探したことをよく憶えています。

 真冬には鼻を赤くし流星群を待ち、夏は夏で虫に刺されながら星座を眺めたり。


 星はいつでも暗闇に、自身の命を削ってそこに在りました。

 でも、今日は違いました。真昼なのに、星が輝いていたのです。おやすみなさい。




 起きたら着替え終わってた。不思議。

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