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嫌なカウントダウンが発表されました

突然現れた灰褐色の毛に覆われた謎の球体・モフモフさんは、時を管理する役目を担った「時の番人」と呼ばれる人(?)の使いでやってきたそうです。

 そして私の人生はこのままだと5~6年で終わってしまうと言うのです。

 ちなみに「時の番人」というのは、時と空間の歪みの発生を防止したり修正したりする人だそうです(そう説明されても、私にはさっぱりわかりません。ただ、歪みが生じるのはよくないことで、万一起こった場合はすぐに歪みを直すことが必要だそうです)。

 リューイが誤ってロザリアを転生させた時、その歪みが発生し、私は時と空間(「時空」と呼ぶそうです)を超えて別世界の人間として生まれ変わりました(ロザリアが直近の前世ではなく、そのすぐ後にもう1つ別の人生を送っていたことが判明!ビックリ)。

 それから4年後、再び時空に歪みが生じました。

 その原因がまたしてもリューイにあるという。

 ロザリアの死後、リューイは禁呪を使ってロザリア(私)を再び蘇らそうと試みました。大変高度で危険な術式にも関わらず術はみごと発動………………それまではよかった。

 しかし一転、蘇りの術が完成しようとしていた最後の最後でまさかの魔力切れ。

 結果、失敗。

 時空を越えて元の体に還る途中にあった私の魂は突如行き先を見失い、すぐ近くにあった命尽きようとしていた赤子の体を器とすることで見事新たな生を受けました。

 産まれて間もない私にロザリア時代の記憶があったのは、術が発動したことによる効果の1つ。別世界で生を受けた時の記憶がないのは、術が途中で終わり直近の記憶を引き継ぐことができなかったためと思われます。

 ただ、よくよく考えると言葉遣いがロザリア時代では絶対使ってなかった言葉遣いをしていますね。ロザリア時代と今の間にもう1つ転生していたと考えれば、なんとなく納得。

 死に方についてはイロイロと思うところはありますがね。ええ、イロイロと。

 それはともかく、時の番人としては、1度ならず2度までも時空を歪められ、死ぬはずではなかった者が死んだり、逆に死ぬはずだった者が生きていたりと時空の歪みが運命の輪にまで影響を及ぼして、とにかく処理が大変なのだそうです。

 その上、こりずに再び蘇りの術が計画されているとか。いい加減にしろ!ということで、何とか阻止してもらえないかと当事者である私のもとに使者モフモフさんを送ることにしたそうです。

 状況はわかりましたが、私は何もできない赤子です。成長を待つにしても5~6歳の私に何かできるとは思えないのですが。

 戸惑いながらも私の考えを言いますと、モフモフさんは胸をはっていいました。

『だから、僕が君のもとに来たんだ。

 君の選択肢は2つ。

 1つは、自力で何とかする。

 もう1つは、授珠の儀に際して僕と契約を結ぶこと。僕と契約すれば、通常の魔力量じゃ考えられない力を得ることができるよ。それで教会の巫女となって一言、「禁呪を行おうとしている動きがある」とかっていえば、他の人が動いてくれるよ。

 今の君には2つ目の選択が一番現実的だと思うな。』

 ――だう!(いや!)

 即答です。

 じゃ、この話は聞かなかったということで。以上、終わりです。

『は?』

 一方的に終わりを告げられポカンとしているモフモフさん。私はその様子にかまってられない位、機嫌が悪くなります。

 「教会の巫女」、その言葉が出てきた途端、ロザリアだった時の妹・アリシアの顔が浮かびました。

 出生から100日目で行われる授珠の儀。儀式を受けた後は、一部の例外を除いて家族のもとへ帰り、家族との生活が始まる――――――その一部の例外に該当したため、家族のところに帰ってこられなかった妹。 

 彼女は、生まれながらに類稀な魔力の持ち主でした。そのような人物が見つかった時、教会がとる対応は唯1つ。

 保護という名のもと赤子を引き取り、巫女候補としてふさわしい育成を受ける。

 魔力至上主義の世界の中で。

 反射的にどす暗い気持ちが膨れ上がってくきました。

 教会のもとになど絶対に行きません!

「ミルクですよ~」

 鶴の一声、ならぬマーラの一声。

 哺乳瓶と共に現れた天使マーラの姿に万歳!

 ――あぅう~!(やった~!)

 ということで、この話は終了です。終了!

 さぁさ、ミルク、ミルク。


 今日はポカポカ陽気、いい天気。

 窓から青いお空が見えています。

 ミルクも飲んで、お腹も満足。

 今はマーラの腕の中。柔らかくて暖かいぬくもりに包まれながら、心地よくゆらゆら揺られています。

 ―――ぅー(幸せー)

『あの~、もしもし?』

「あら、ご機嫌さん。今日は全然ぐずらないし、いい子ね~」

 そうですか?喜んでもらえると、こちらも嬉しいです。ついでに笑顔もサービスしちゃう。

『お~い』

「あら、かわいい!」

 そうですか。よかった、よかった。

『ねぇ。聞いてる?………………ってか、僕の姿って他の人にはわからないはずなんだけど、何、この連携のよさ。』

「さて、あとは司祭様達が来るのをまつだけね。今日は大切な日ですから、この調子でいい子にしててね」

 は~い。頑張りま~す。

 そうして私はベッドの中へ。

『お~い!』

 このまま時間まで一寝入りするのもいいですね。今日は平和な1日です!何も起こってない、何も見てない、何も聞いてない!

『あくまで無視か!』

 何のことでしょう。私はいたいけな赤子です。

 何もわかってないですよ~。ばぶばぶ。

『思いっきり理解して言っているでしょ』

 ばぶばぶ~。

『………………本当に、死ぬよ』

 ………………。

『………………』

 ………………ばぶばぶ。どうか、私にかまわないで下さい。

『………………』

 意思を伝えると、モフモフさんは姿を消しました。

 モフモフさんの言葉が本当かどうかわかりません。それを知る術はありませんが、仮に本当だったとしても、教会に引き取られる位なら足掻くだけ足掻いてみせます。

 それにしてもモフモフさん、何だかとても傷ついているように見えたのが、何だか少し気になります。

 でも、教会の保護を勧める以上、絶対に賛成することはできません!

 産まれてからずっと平穏だった日々の中、突然ビックリするような出会いや衝撃の事実が発覚したからでしょう。なんだかとっても疲れてしまってそのまま眠ってしまい、気がついたら101日目の朝を迎えていました。


あと5〜6年で人生終わっちゃう?

そして、ロザリア時代と今の人生の間にもう1つの人生があったという衝撃の事実。でも、ロザリアの時にはこんな言葉遣い知らなかったよねー、と妙に納得。


自分の人生を天秤にかけても、教会の巫女になるモフモフ案をあっさり却下。

癒しのマーラとミルクに癒されながら、そのまま丸っと眠って次の日に。結局、授珠の儀は経験できませんでした。


次は協力者の出現••••••••?です

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