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久遠光一の商売事情

「よいしょっと」

 光一は時折、つぐみ達のサークルにケーキを差しいれる。

 正確には、彼特性のお菓子の家の作品感想の為なのだが――

 光一は凝り性な上に手先も器用な為、色々な意味で楽しみとなっている。

「――店頭販売しないのは、実は造るのに時間かかり過ぎるからだけど」

「だよね……こんなのあたしにも造れそうにないもん」

「私もれしゅ……今回は、藁の家風?」

「そう。壁はクランチチョコレートで、屋根はモンブラン。スポンジはスィートポテトと、秋風味のお菓子の家。自分で食うのを含めて、造るのに半日かかった」

「「…………ある意味すごい(れしゅ)ね?」」

 ある意味感心、ある意味呆れの1事だった。

「他にもバリエーションあるんでしょ? ポッキー使ってログハウス風、板チョコあるいはウエハース使ってレンガの家風って」

「他には、生クリーム使っての雪の積もった家風に、それのクリスマスバージョン。それから、抹茶ポッキー使って七夕バージョンの竹のログハウスに、他は――」

「――光一君、絶対お菓子の家でお店開けるよね?」

「店は開けても、競売の形にでもしないと品が間に合わん」

「「――それは斬新な(にゃ)」」

 とはいえ、つぐみにみなもも、こんな出来の品を量産しろと言われても無理な訳で――

 そう言う形もやむなしかなと、頷いていた。

「まあ、そういう話は武田カンパニーから出てんだけどね――そう言う面白い新商売なら出資しても良い、是非ともフランチャイズとしてやってくれって」

「やるの?」

「やんない。こっちはあくまで趣味で、本業はDIE研究者なんだから」

「そして、保安部の調査も請け負ってるんでしょ? 身体大丈夫?」

「大丈夫、これは楽しんでやってるから」


「なんだとコラあっ!!」

「テメ、上等じゃねえか!!」


「――こういうのも含めてな」

 そう言ってにやりと口元を歪めた笑みを浮かべ、光一は電子ツールの銃を両手に展開し、てくてくと散歩にでも行くかのように歩を進め――

 断末魔が響いた


「言っとくけど、電子ツールはあくまでDIEによって具現化した武器だから、痛みこそあってもけがはしないからね――その代わり、普通に切られたりするのと変わらん位痛いけど」


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