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ビーチライブ後のフリータイム(後)

つぐみと宇佐美、みなもと歩美のペアで始まったビーチバレー。

 それは、つぐみと宇佐美のペアーーと言うより、宇佐美の1人勝ちと言える圧勝だった。

「宇佐美ちゃんすごいれしゅね。動きが機敏で、とてもあんなすごいライブをこなした後とは思えましぇん」

「身体を動かすのは好きだから、スポーツはいい気分転換です」

「料理でならともかく、私には無理だなあ。そう言う発想は」

「あたしも、料理でこういう発想は無理ですよ。あたし料理だけはダメで……」

 ビーチバレー組は、タオルとペットボトルを手に、和気藹々。

 そうしてるだけで男が寄ってきそうな雰囲気だが、先ほどまで筋骨隆々な巨漢がそばに控えており、誰1人近づく気配はなし。

「あれ? 宇佐美ちゃんに……つぐみんにみなもんに、あゆみんじゃん? それに榊のダンナまで」

「――なんで裕樹達の世代は、俺をダンナと呼ぶ奴が多いんだ?」

「えー? だって年上の後輩だなんて、扱い方すごく困るもん」

 サンバイザーにサングラスをつけ、黒で稲妻のプリントが張られた黄色いビキニを纏ったアスカ・ホークアイが、日焼けした健康的な肌を惜しげもなくさらしつつ、フレンドリーに話しかけた。

「アスカさん!」

「ビーチライブ見たよ。流石だね」

「アスカさんにそう言って貰えるなんて、光栄です」

「でもボクだって、胸の大きさじゃ負けても、まだまだトップの座は明け渡さないよ!」

「ちょっ!!? 勘弁してくださいよ。さっきだって……」

 そこで宇佐美は、まだ海で裕香も混ざり始めた、ひばりの水泳練習に目を向ける。

 裕樹の腹がつかる位の深さで、ひばりが浮き輪を引っ張って貰いながらのバタ足。

砂の城が出来た為、番をカグツチに任せて裕香もひばりの水泳練習に参加し、今はひばりの浮き輪につかまって、同じようにバタ足。

「――? ……ああっ、もしかしてユウにセクハラ発言されたばっかりだった?」

「……はい。けどそう言うのが目立つわりには、結構妹思いの良いお兄さんなんだって、ちょっと今思ってました」

「そうなんだよね……頼りになる良い先輩なのは確かなんだけど」

「裕樹さんのその部分は、私達も困ってましゅから」

「……やっぱり先輩達にもあるんだ、そう言うの」

 ここだけの話、宇佐美は裕樹の頬に自分以外のビンタ痕がついてるのを、見た事がない。

 なので密かに、自分の比率が高いんじゃないかと内心心配していた。

「アスカさんも、あったんですよね?」

「ボク? うん。そりゃ何度もあるけど、別に気にしてないよ」

「……器大きいですね?」

「ボクだって音楽関係で、学園都市の頂点って肩書持ってるんだもん。ユウに悪意ないのわかってるんだから、それ位笑って許せる器の1つや2つ位あるよ」

『ブルルっ!

「けどイッちゃんがねえ」

 アスカの電子召喚獣、一角獣型電子召喚獣イクシオン。

 アスカは厳めしい名前だからと、愛称でイッちゃんと呼んでるその馬は、とても芸能方面の学生の電子召喚獣とは思えない程、強そうに見える。

 それこそ、龍星の煌炎やヤマトよりも。

「それとも、ユウのセクハラに悪意があるって思う?」

「「「「いえ、全然」」」」

「でしょ? それさえ気にしなきゃ、有能なのは事実なんだし、仕事のコネが通じる高級料理店に連れてってくれるしね」

「--やっぱりアスカさんも、連れてってるんですね」

「あっ、やっぱり宇佐美ちゃんも?」

「考える事は同じなんれしゅね」

「ユウ先輩自身、デートとかそういう認識、全然持ってないでしょうけど」

 歩美の一言に、全員がうんうんと頷いた。

「あれ、アスカ?」

「やっほーユウ、元気そうだね? 裕香ちゃんも久しぶり、抱っこして良い?」

「久しぶり、アスカ姉ちゃん。抱っこは(ここじゃ)やめて欲しいな」

「それは残念。久しぶりに裕香ちゃんの柔らかほっぺ、堪能したかったのに」

 余談だが、アスカも裕香に懐かれていて、甘えん坊ぶりを理解してる女性であり、アスカも楽しんでいた。

「お久しぶりです、アスカさん」

「ひばりちゃんも久しぶり。いつの間にユウと、そんな仲良くなったの?」

「――結構最近、です」

「そう? 頑張ってね――っと、いけないいけない」

 アスカがこの場に居る全員の数を数えてから、D-Phoneを取りだし操作。

「どした?」

「今度やるボクのライブの招待状、皆のD-Phoneに送っといた。特等席だから、みんなよかったら来てね♪」



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