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宇佐美のビーチライブ!

「皆―! 今日は来てくれて、ありがとー!」

『グオオオオン!』

「「「おおおおおおおおおおおっ!!!」」」

 学園都市は、湾岸に沿って造られている

 スタジアムが臨める遊泳用の海岸では、特設ステージで一条宇佐美のビーチライブが開催されていた。

 宇佐美はこの日の為に用意した、炎のプリント入りの赤いスポーツタイプセパレートの上に、ホットパンツとタンクトップを重ね着した水着を着用し、マイクを手に盛り上げている。

「準備は良い? 裕香ちゃん」

「うっ、うん!」

 更には特別ゲストとして、朝霧裕香が宇佐美とおそろいの炎のプリントの入った、赤いワンピース水着に“YUSAMI”とロゴの入った帽子を着用して、宇佐美の後ろで裕樹の電子召喚獣カグツチに跨り、縮こまっている。

「今日は特別ゲスト、朝霧裕香ちゃんとの共同ライブ、楽しんでねー!」

「「「おおおおおおおおおおおおおおおっ!」」」

「それじゃいっくよー!」


「盛り上がってるなあ」

「今日の為に頑張ってたのは知ってるだろう?」

 トランクス水着にパーカーを羽織り、サングラスに帽子をかぶった、貧弱な体が残念さをだしてる光一が、双眼鏡を手に宇佐美のライブを眺める。

 その横で龍星も、ただ立ってるだけで堂々と誇示するかのような逞しさを醸し出しながら、同様にトランクスタイプの水着で両手にはクーラーボックスを握って居る。

「でもすごいのは、宇佐美ちゃんまだ1年生なのに、あんなたくさんの人の中心になってる事だよね」

「ひゃい……わちゃしらっひゃら、ぢぇるまへにきじぇちゅしちゃいましゅ」

「……涼宮先輩、空気に当てられただけで緊張し過ぎです」

「裕香ちゃん、大丈夫かなあ?」

 麦わら帽子を被り、水色のセパレート水着の上にTシャツを着たつぐみが宇佐美に感心。

白いビキニのみなもは空気に当てられ、“私だったら、出る前に気絶しちゃいます”を完全にかみかみどころか、言葉になってない程緊張。

その横で、ちょっと思いきって着てみましたと言う様な、黄色いビキニを着用した歩美は、恥ずかしさで動きがぎこちないながらもみなもを宥めていて。

 つぐみと同様、麦わら帽子を被ってフリルの付いたオレンジ色のビキニの上に、Tシャツを着たひばりが、裕香を心配していた

「……」

 そんな注目を浴びてるステージの裏。

 アロハシャツに短パン、サングラスにベルト固定式のサンダルと言う様相で、右手に電子ツールの身の丈ほどある大刀を握っている朝霧裕樹が、いつでも飛びだせるように周囲を警戒している。

 イベントは滞りなく進み、宇佐美と裕香が演出の為にカグツチの背に乗ると――ステージで花火が噴出した。

「お願い、カグツチ」

『グルルル』

 アスカを始めとする、芸能方面の護衛の際にも、カグツチは幾度となく演出用に刈りだされた事はある。

 花火が吹き出るのに合わせ、カグツチは炎を吹き出し--。


 ザバーッ!!


 海から姿を現した、鯨型の電子召喚獣が潮を吹き、炎と水のぶつかりあうアーチが描かれた。

「「「おおおーーーっ!!」」」

 そこで歌が終わり、拍手が喝さい。

 宇佐美と裕香がカグツチから降りて、手を繋いで2人でステージの前に出る。

「皆―! 今日はありがとー!」

「えと、えっと……きょっ、今日は……ありがとうございました!」

 そこでライブは終了し、2人は舞台裏へ。

「はううっ」

「おっとと……大丈夫か、裕香?」

「うっ、うん……だいじょぶ。クラスの演劇より、ずっと緊張したよ」

「ごめんね。やっぱり……」

「ううん、平気。だって宇佐美姉ちゃんと一緒のステージに立てたんだもん。私の一生の思い出だよ。ありがとう」

 裕樹に支えられながら、にっこりと笑みを浮かべて裕香はお礼を。

 そんな笑顔に当てられ、宇佐美は裕香を抱きかかえて……

「可愛い! あーんもう、こんな妹あたしも欲しい」

「ぷわっ! ひょっ、ゆひゃみねえひゃん!」

「落ちつけ宇佐美、裕香息ができてないぞ!」

「え? あっ、ごめんごめん、大丈夫?」

「気をつけろよ。そんなでかい胸でそんな――」


 バチ―ン!


「おっ、おつか……」

「どうしたんだ裕樹? その顔」

「いや、ちょっとな……」

「--ふんっ!」

「「「「……また宇佐美ちゃんに何か変なこと言ったんですね(れしゅね)」」」」

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