表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
76/402

過去との対面(4)

「――それじゃ、あたしの罪と良い子である事は、どの道ジレンマになったんですね」

 自嘲気味にそう呟いて、眼を虚ろにそのままテーブルに突っ伏した。

「そうならなかったのは、ただ単にずっと腹の中に抱えたまま、自分1人の答えでとどめたから、だろうな」

「――まるで、今までの生き方その物も、お母さんへの贖罪の気持ちも、この罪の意識以外の全部否定された気分です」

「全部って事はないよ。さっきも言ったけど……」

「なら――しばらく、裕香ちゃんを預からせてください」

 突如遮られた事以上に、裕樹は眼を丸くした。

「裕香を?」

「さっきも言ったけど、今更あたしに良い子以外の生き方なんて出来ない。けれど、もうあたしにとっての良い子の定義も揺らいだ今……裕香ちゃん以外に、良い子に繋がる物なんてわからないんです」

「――わかった……帰ってきたら、すぐ準備させる……必要もないか」

「そうですね――そろそろお昼だから、今日はあたし作ります」

「いやいや、お客様にそんなことさせられ……ごめん、頼む」

 裕香用の踏み台を整え、ひばりは冷蔵庫を見回してメニューを決めて、調理を始める。

その間裕樹は、この前買った外国語表記の本とノートを取り出し、ペンを走らせる

「――今回の事で、思った事があります」

「何?」

「あたし、お母さんがどんな思いであたしにあの言葉を遺したか……ずっと良い子である事だけに執着して、考えもしなかったんです。相談するのも迷惑になるのが怖くて、お父さんにもずっと……裕香ちゃんの事も、同じ理由で」

「そう」

「――考えてみたら、迷惑かどうかでばかり考えて、人を信じるって言う事を、ずっと忘れてた気がします。今更だけど、良い子って本当にそう言う物かなって……」

「気付けたんなら、手遅れなんて事はないと思うけど?」

 ペンを走らせる手を止めないまま、裕樹はひばりにそう返した。

 無論ひばりも、調理の手を止めてはいない。

「俺もさ、保安部クビになって今の稼業が落ち着くまで、色々あったからね――当時は俺も、1人で売り出そうと躍起になってるバカ野郎だったから、尚更に」

「――そうですね。まだあたし自身を許せたわけじゃなくて、まだ沢山の葛藤はあるけど、それでも……」


「ただいまー!」


「おっ、帰って来た」

「――裕香ちゃん、食べて帰って来たのかな? そうじゃなかったら、もう1人分作らなきゃ」

 それでも、今までとは違う良い子になろうと思える。

 それを呑みこみ、料理しながらではあるが、裕香を出迎えた


一先ずここで一区切り


で、ここから裕香とひばりの共同生活の始まり始まり。

色々なこと、もちろん事件なども起きますが--それはこれからのお楽しみ


ひばりんフラグに一歩……進めたかな?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ