過去との対面(3)
ひばりは、母の事を裕樹に少しずつだが、説明した。
母は仕事で家を留守にしている事が多かったが、とても優しくて明るくお茶目で――ひばり分補充と言って、良く抱っこして可愛がってくれていた事。
また、幼馴染の2人の事も大切に思っていて、よく冗談交じりのやりとりをする、とても親しみのもてる人だった事。
更に言えば悪戯好きで、自分の声真似は実は母親譲りで、更には学園都市の特別講師として採用される程の演技力もあり、それらを使ってよく悪戯していた事。
それらを裕樹に、懐かしさと後ろ暗さの入り混じった表情で、ゆっくりと説明。
「良いお母さんだったんだね? ――ひばりが今でも引き摺ってる理由、わかる気がする」
「――はい」
「会ってみたかったな――きっと裕香も気に入って、今からでもお母さんなんて呼んで甘えてそうだ」
「そうですね――お母さんも裕香ちゃんを気に入って、本当に娘にしたがったと思います」
「そっか。やっぱ俺の思っ……」
「やめてください!」
そこでひばりが、裕樹すらもぎょっと目を見開くほどの大声で遮ると、手で顔を覆いそのまま黙ってしまう。
裕樹は最初こそ疑問符を浮かべる物の、何となくだが事情を察し、そのまま黙る。
「お母さんが一体何を思って、あたしに“良い子で”なんて遺したのか――確かに贖罪の為だけを考えて、そんな事1度も考えた事はありません」
「ひばり」
「……だけど、今更どうしたらいいって言うんですか? あたしはこの罪を、忘れる事も誤魔化す事も出来ない! ――あたしは、良い子で居る以外の生き方なんて、もう出来なければ考える事も出来ない! なのに……」
「――ごめん」
裕樹の絞りだす様なその言葉に、ひばりは顔を覆う手を外し――
ひばりに向けて、頭を下げる格好の裕樹を見て、涙が未だに流れる眼を見開く。
「……考えてみれば、ひばりがこんな事誰かに相談する訳がなかった」
「……ユウ、さん」
「――なのに、こんな軽率な事して……最低だな、俺」
違う――ひばりはそう言いたかったが、声が出なかった。
ただ、その代わり――
「――“良い子”って、何なのかな?」
という言葉が、無意識に出ていた。
言った本人も、何故こんな言葉が出たのかは分からなかったが、そのまま黙って裕樹を見つめる。
――裕樹の答えを、本能が知りたがっているかのように。
「――今目の前に居る……可愛い妹に心底懐かれてる子が、良い子じゃない訳あるかよ……だから」
“良い子ってのは、誰かに愛される子の事だろ”
裕樹の言葉に、ひばりは――
5回は書き直しました。
本気でのめり込むと、苦労だなんて思えないからすごいですね。
それだけ自分の中で、裕樹とひばりのカップリング熱がすごいと、改めて実感。
さて、ここからどうした物か?
ひばりんフラグはまだまだ、はるか彼方……辿り着けるか?
早く朝霧兄妹とひばりんの家族系カップリング作品書きたいです
実はもうネタ自体はあったりして




