過去との対面
裕樹とひばりのエピソード
今回から、ちょっと本格的な攻略のスタート、と考えてます。
「あっ、ユウさん?」
「ん? ようひばり」
学園都市にも、本屋はある。
実際はD-Phoneの電子書籍がメインではあるが、紙の手触りと活字を好む学生の為に、本屋は備えてある。
本日ひばりは、新しい料理本を買いに来て、明らかに日本語で書かれた物ではない本を何冊か手にしている、裕樹と鉢合わせしていた。
裕樹はアウトドア派ではある物の、言語学科でも上位の成績を収める文武両道派であり、読書を嗜む位の文系ではある。
「勉強ですか?」
「うん。レポート用の本を買いにな――ひばりは料理?」
「はい。今日新しい本が発売されるって聞いたので」
「研究熱心だねえ。その腕、裕香にもご教授頼むよ?」
「良いですよ。裕香ちゃんなら、いつでも……」
ふとひばりが、ある方向に目を向けた途端、凍り付いた。
裕樹が不思議に思い、ひばりの視線を追い掛けると……。
「――?」
近々、学園都市の映画方面の学生により、映画化されるある演劇の特集雑誌。
その雑誌には、以前実際に行われた演劇を指導した、ある特別講師の名が出ており、その名前が……
「支倉、美空――支倉? ……おいひばり、もしかして……」
「――はい。お母さん、なんです。以前ここで、特別講師として呼ばれた事あるって」
「へえっ、すごいな。確かによく見れば、ひばりにそっくり――」
「……」
「――?」
――その後。
「――どうしたんですか? いきなり一緒に夕食食べようだなんて」
「いつも裕香が世話になってるから、たまにはご馳走しようと思ってね。ひばりも、こういう所で食べるのも良い勉強だろ?」
「――確かにそうですけど」
ひばりは落ちつかないと言わんばかりに、今自分と裕樹、そして途中から合流した裕香がいる和室で、おろおろとしていた。
何せ、学園都市で随一の高級料亭の一室なのだから。
「心配しなくても、こことも以前仕事関係でちょっとね」
「――ユウさんの顔とコネの広さには、本当に何度も驚かされるよ」
「生徒会最高権力、生徒総会からも幾つか仕事受け持ってる身だからね。本業はフリーランスだけどね」
そう言って、裕樹は湯呑みを傾け茶を啜る。
「でもユウ兄ちゃん、どうしたのいきなり? こんな高級料亭で、ひばり姉ちゃんと一緒に御飯だなんて」
「ちょっとした気分転換。パーっと美味い物食って、楽しい気分になりたいから」
「ふーん」
と言っているが、ひばりにはわかっていた。
裕樹は気遣いで、自信にこういう事をしてるんじゃないと証明する為に、態々裕香を呼んでまでこういう形にしたんだと。
「お待たせいたしました」
そうこうしている間に料理が運ばれ、3人の前に並べられる。
ひばりも遠慮よりも先に、綺麗に盛り付けられた高級料理に目を奪われる。
「――すごい……こんなに綺麗な盛り付けも、こんな高級料理も初めて見たよ」
「美味しそうよりも、綺麗で手をつけるのがもったいない様な……」
裕樹は高級料理より、その高級料理に目を輝かせる2人を、優しく見守りつつ2人が手をつけるのを待つ事にする。
やっぱりひばりは、料理絡みで目を輝かせてるのが一番だな――と思いつつ。
「――あの」
「ん?」
「――明日、良いですか? ……話したい事があるので」
「良いけど――」
未だに裕樹とひばりんカップリング熱が冷めない。
この組み合わせを思いつけて、本当によかったと思います。
それはさておき
裕樹とひばり、なんとしてもカップルとして成り立たせて見せる!
ひばりんの作者様、GAUさんをはじめとして、詠んでいただいてる皆様にも喜んでいただけるように、がんばります。




