学園都市の花火大会 (裕樹×宇佐美 カップリング編)
今回はIF設定です
なので、前回の話とは別軸での話となりますので。
学園都市は、世界で最も花火が上がる年だと言われている。
大小問わず、何らかのイベントが行われているこの都市では、それらで花火が打ち上げられるが故に、需要は多い。
その為、学園都市は花火職人としての知識も学べ、産業も営んでいる為に自給率は高く、更には新型の花火等も売りだしている。
そして――
「さーて、ついたついた」
学園都市には、花火大会が2回行われる。
その理由としては、まず今年から花火職人として学園都市で活動する1年生たちの作品のテストが主で、他には来年に打ち上げる新型花火の試作品の打ち上げの為に、比較的に早い時期から行われる。
そして第2回が、去年打ち上げられた試作品のデータを元に造られた花火の本番であり、どちらかと言うと第2回がメインとなる。
「ここ、ホントに人がいないんだ?」
「大抵はあっちに行くから、この辺り実は結構穴場なんだよ」
「だから今日は、一緒に楽しもうね? 宇佐美姉ちゃん」
「うん」
裕樹は妹の裕香と宇佐美を伴い、秘密のスポットの波止場に来ていた。
裕香は宇佐美のファンだし、宇佐美も裕香の事が気に入っており、アドレスを交換して良く話をしている。
「裕香を宇佐美に紹介したの、正解だったな」
「うん。まさかユウに、こんな可愛い妹がいるなんてね」
「――どうせ俺は宇宙みたいに美形じゃないよ」
「いや、そう言う意味じゃなくて……」
裕樹は、クーラーボックスからコーラのペットボトルを取り出し、ぐいっと煽る。
「……と言うか、なんで俺に妹がいるってだけで、どいつもこいつも仰天率100%なんだか。そりゃ俺は裕香と似てる所なんか殆どないし、宇宙みたいな美形なら、宇佐美みたいな妹がいてもおかしくはないけど」
「――どうしよう裕香ちゃん、なんか変なスイッチはいっちゃった?」
「どうしようなんて言ってるわりには、随分と嬉しそうだね?」
「――だってあたし、他の人と比べてハズレ率が高いみたいだから」
「……それで異様にビンタ率高いんだ」
――もしかして、相性悪いのかな?
と、宇佐美は裕香の話を聞いて、気分が少し沈んでいた。
「……何これ?」
変なスイッチの入った兄と、気分が沈んでる宇佐美に挟まれ、裕香は苦笑しながら首を傾げる
「ん~……えいっ!」
「ひゃっ!」
「え? うわっ!」
既に折りたたみの簡易椅子に座っていた宇佐美にタックル。
小さいそれはバランスが悪く、咄嗟の事で宇佐美もバランスが取れないまま裕樹にもたれかかり、裕樹もいきなりの事だった物の、咄嗟にバランスを取る。
そこで丁度花火が上がり――2人は花火に照らされた、互いの顔を見つめる。
「あの……むぐっ!」
「……ちょっと黙って」
「むっ……」
「――ギャンブルはいらない。今だけは、確かな時間を過ごさせて」
「……」
「……子供は見ちゃいけない物、だよね」
裕樹の口を塞ぎながら、そのまま宇佐美は身をゆだね、花火を眺める。
裕香も2人を視界に入れないよう、花火を見上げ始めた。




