学園都市の花火大会 (裕樹×ひばり カップリング編)
学園都市は、世界で最も花火が上がる年だと言われている。
大小問わず、何らかのイベントが行われているこの都市では、それらで花火が打ち上げられるが故に、需要は多い。
その為、学園都市は花火職人としての知識も学べ、産業も営んでいる為に自給率は高く、更には新型の花火等も売りだしている。
そして――
「さーて、ついたついた」
学園都市には、花火大会が2回行われる。
その理由としては、まず今年から花火職人として学園都市で活動する1年生たちの作品のテストが主で、他には来年に打ち上げる新型花火の試作品の打ち上げの為に、比較的に早い時期から行われる。
そして第2回が、去年打ち上げられた試作品のデータを元に造られた花火の本番であり、どちらかと言うと第2回がメインとなる。
「あたし達だけ、なんですね」
「そう。他の皆は用事かデートだからね」
「ジュースとかお菓子とか、用意はできてるよ」
その第1回の花火大会に、朝霧兄妹はひばりを誘い、学園都市の波止場に出向き見に来ている。
「何もあたし誘わなくても、兄妹水入らずを楽しんだって――」
「そんなの普段からやってるもん」
「――それとも、迷惑だったかな?」
「――わかりました。ご一緒します」
ひばりは諦めのため息をつき、裕樹に誘われるままに裕樹の用意したパイプ椅子に腰かけ、裕樹もその隣で腰掛ける。
そして……
「よいしょっと」
「ゆっ、裕香ちゃん?」
裕香が裕樹の膝の上にのり、そのまま裕樹に身を預ける形で座る。
「ダメだよ、こんな所でそんな……」
「誰も見てないから大丈夫だよ」
「そういう問題じゃなくて――って、ユウさんにもやってたの?」
「うん……いけないかな?」
「いけないって、幾ら兄妹でも……」
その先は裕香の表情が曇り始めた為、流石にひばりはその先を言えなかった。
しかし、裕香が身を預けてる兄である裕樹には、その限りではなく――。
「普段家で、どういう生活してるんですか?」
「多分、ひばり達にやってるのと同じ事。抱っこせがまれたり、何かとベタベタひっついてきたり、一緒に寝たがったり――」
「――ほぼ同じですね。あたしにやる事と」
「何となく言いたい事はわかるけど、裕香は裕香でしっかりしなきゃいけない所はしっかりしてるから、せめてこういう時位はって思っちゃうからさ」
膝の上に座ってる裕香の腹から手をまわして、ぎゅっと抱きしめてやると、裕香は心地よさそうに安心しきった表情で脱力。
「それで裕香ちゃんが、こんなに良い子に育ったって言うのなら、流石に否定はできませんけど……」
「――それに、いつまでもこんな事続かないさ。そうだろ、裕香?」
「うん! ――充填完了!」
と、先ほどまで脱力してた裕香が一転し、元気はつらつと言う感じで裕樹の膝から降りて、元々用意してあったパイプ椅子に座り始める。
「……裕香ちゃん」
「な? この通り、裕香は大丈夫って、そう信じられるんだから」
「……信じ、られる……」
「――ひばり?」
「ユウさん、あたし――」
ドーーンッ!!
「あっ、始まったみたいだよ」
「――? 悪い、良く聞こえなかった」
「……いえ、なんでもありません。それより、花火見ましょう」
「――ひばり」
「はい?」
「――信じて、待ってるからな?」
「……ありがとう、ございます。
今回ちょっと、朝霧兄妹の在り方についてを重視しました
それがうまく伝わるかどうか




