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地獄に堕ちたその先で

「榊さん、迎えに来ましたよ」

「……またか。俺はもう大丈夫だと、ずっと言っているだろう?」

「貴方医者じゃないでしょう? 無事なのはあくまで表面上だけなんだから、過信するとまた逆戻りですよ――本当なら、ちゃんとした組織に所属して欲しい位なんですからね」

 中等部卒業を間近に控え、榊龍星は病を患った。

 その際の闘病生活から、漸く高等部のカリキュラムへの復帰は許されたが、龍星自身が探偵業兼なんでも屋を志望した為、保安部の訓練への参加と保安部主治医チームの検査を受ける様に措置がとられている。

 その検査を受け持ったのが、東城太助だった。

「――お前は技術者じゃなかったか?」

「確かに、成果を挙げたのは技術方面ですけど、僕の専攻は医療ですよ。電子ツール、電子召喚獣方面を勉強してるのは、それを医療に応用する研究の為なので」

「すごいな」

「やりたい事、目指す物の為にやってる事ですから、苦でもなんでもありませんよ。さあさあ、検査行きましょうか」

「わかった」

 年下ながら、医者でありDIEシステム研究者として、成果を挙げる男子生徒。

 これが、榊龍清と東城太助の間柄だった。


「――まさか、こんな形で再会するだなんて、思わなかったぞ」

「僕もですよ……身体、もう大丈夫みたいですね」

「今まで一体どこに居た? ……何故、こんな事をする?」

「--堕ちた者の行先なんて、地獄に決まってるじゃないですか」

 場所は、月夜の都市の一角で、龍星は対峙する。

 今や学園都市に脅威を振りまく存在となり果てた、かつての自身の主治医と。

『ウウゥッ……』

『ニャアッ……』

「ん? ……ああっ。ヤマトに煌炎じゃないか。久しぶりだね」

 龍星の電子召喚獣、紅い狼型のヤマトと、紅い猫型の煌炎。

 この2体も、何度か太助がメンテをした事がある為、2体も太助に敵対する事を躊躇っている様子を見せる。

「さて……単純に僕を捕まえに来た訳じゃなさそうですけど?」

「ああっ……お前の捜索を保安部から依頼された事もあるが、あのテロ騒動で俺の友人がケガをした」

「仲間思いの頼れるお兄さん気質は、変わってない様ですね」

「ならば、言いたい事はわかるな?」

「守護者が恨みで動く物じゃありませんよ――それに、僕を捕まえに来た時点で、貴方は少なくとも矛盾に晒される」

「話は、捕まえた後でしよう――煌炎!」

『ニャアっ! ……フウウウゥ……グルルルルルッ!』

 龍星が煌炎に声を掛けると、煌炎が身体を震わせ――身体を肥大化させ、猫ではなく虎の風貌へと変化していく。

 その様子に、太助は手に持っているタブレットにゆっくりと手を掛け――

「――いいんですか? こんな所に居て」

「何?」

「まさか――実行部隊が僕だけだと思ってた訳じゃないですよね」

 何を言おうとしているのか理解した龍星は、その次の瞬間に姿を現した漆黒の身体を持った違法召喚獣達に取り囲まれる。

「悪いけど、僕は貴方と戦いたくなんてないんで」

「逃がすとでも……」

「貴方はどんなに怒り狂おうと、狂戦士バーサーカーにはなれないよ――僕には、貴方を制御する術がある」

「……くそっ!」

「――心配しなくても、また会えますよ……近いうちにね」

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