朝霧裕香の華麗にして波乱万丈な休日(エピローグ)
「――今日は、すみませんでした」
「いや、良いよ。俺達もひばりへの配慮が足らなかったみたいだから」
月に連れられたひばりは、裕樹達と合流し――そのまま、帰路についた。
月は裕樹と数分ほど話をし、予定があるからと既にわかれている。
「――すぅっ……すぅっ……」
裕香は裕樹におんぶされ、現在は寝息をたてて眠っている。
なので裕香の今日の買い物の荷物は、ひばりが抱えていた。
「――裕香ちゃんには、明日きちんと謝らないと」
「明日は俺も裕香も、特に用事はないから大丈夫だけど」
「明日、お邪魔します」
そこで2人の会話は途切れてしまう。
裕樹もひばりも無言のままに、裕樹の送るままにひばりの寮目指して歩を進める。
「――何も、聞かないんですか?」
「言いたくない事なんだろ? ――だったら、無理には聞かないけど。ならこれだけは聞かせてくれない?」
「なんですか?」
「ひばりは裕香の事、嫌いになった訳じゃないよな?」
「当たり前です――嫌いになんて、なれませんよ」
「――そっか」
心底安心した――と言うのが、裕樹の顔から見てとれた。
「裕香ちゃんの事、大事にしてるんですね?」
「そりゃあ家族だから、大事だよ」
「家族だから、かあ……あの、ユウさん?」
「ん?」
「……これからも、裕香ちゃんと仲良くしていっても、良いですか?」
「おいおい、何言ってんだ?」
そう言って、裕樹は膝をついてひばりに目線を合わせ――
「……寧ろ、よろしくお願いしますって言いたい位だよ」
「――ありがとうございます」
「それと、だけどさ」
「はい?」
「えと……可能性はあるって、思っても良い?」
「ふぇっ!?」
改めて言うと、なんか恥ずかしいな。
と、裕樹は最初言った時とは大違いで、顔を赤くして居たたまれなさそうになる。
「なっ、なんですかいきなり!?」
「いや、勢いと言うか流れと言うか……一度そう言った身としては、どさくさ紛れで誤魔化されるのは、流石になあ」
「気持ちはわかりますけど、空気読んでください」
「いや、その……ごめん」
「もう……信じますからね」
「ん?」
「あっ、あたしの寮見てきたから、ここで失礼します」
ひばりは2人に手を振り、自身の寮へと駆けだしていく。
その後ろ姿を見送りながら、裕樹はポツンとたたずむ。
「――結局、どうなったのやら?」
「ユウ兄ちゃん、そんなだとひばり姉ちゃんと成功したとしても、“ダメだこの人、私が何とかしないと”って思われてになるよ?」
「――裕香、起きてたのかよ?」
一応、この話はここまでです。
ここから、朝霧兄妹とひばりの短編をちょくちょく出して言って
それから、本題に入っていく--感じです。
なんか今回は、驚くほど集中できて、執筆もあれこれ悩みつつも楽しくかけました。
改めてGAUさん、ありがとうございました。
さて、この勢いまだまだ萎えそうにないので--
次もはりきっていきますね!




