表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
58/402

朝霧裕香の華麗にして波乱万丈な休日(6)

「……あの、月さん?」

「なあに、ひばり?」

「話をするって連れだした筈……ですよね?」

「そうよ」

 ひばりが連れて来られた場所は、先ほどとは違うブティック。

 それも普段着の類ではなく、女性用のスーツを取り扱う、月の様な女性が御用達にしそうな敷居の高い店。

「――それで、なんでこんな所に?」

「だって元々繁華街には、来週の論文発表会で着て行くスーツ、買いに来たんだもん。その途中で、なんか妙な雰囲気のひばり達見つけたから」

「いえ、答えになってません」

「まずは気分転換よ。そんな沈んだ表情でまともに話なんて、出来る訳ないでしょ?」

 普段こそ、セクハラじみたスキンシップが先立つ月だが、こういう気遣いの出来る愛情深い面もある。

 高等部3年と、1つしか違わないにも拘らず自分よりも大人らしい月は、ひばりにとっては(真面目な時限定で)憧れの女性。

 勿論普段の月と居る時間も、ひばりは決して嫌いと言う訳ではなく――

「ねえひばり、これ似合う?」

「流石、月さんがきると格好いいですね」

「そう? じゃあこっちとこっち、どっちがいいかな?」

「そうですね……こっちかな?」

「そう? じゃあこっちにしよ♪」

 既に他界した母、美空と性格的に似通ってる部分がある所為か、時折母との時間を思いだしてしまう。

「良いんですか? それ、大事な論文発表会で着て行く物なのに」

「ひばりが気に入ってくれたから。理由なんて、それで十分よ」

 会計を済ませ、2人で店を出て適当な場所で立ち止まり――

「さて――表情もほぐれた事だし、説明して貰えない?」

「……裕香ちゃんには、ちゃんと謝ります」

「カウンセリングの勉強はしてるから、力にはなれると思うけど?」

「――お気づかいは嬉しいですけど、大丈夫です」

「ひばり、会話を成り立たせて。言いたくないなら言いたくないで良いから」

「だから、悪いのは……」

「――裕香ちゃんに謝りたいんならまず、“都合のいい子”で居るのはやめて」

 月のぴしゃりと言い放った言葉に、ひばりはガンと頭をハンマーで殴られたかのような衝撃が走る。

「――なん、で……」

「心配しなくていい。悪いのは全部自分……ほぼ教科書通りの良い子だから」

「――教科書?」

「ひばり、良い子に必要なのは教科書じゃないの。そして、その必要な物なんて、もうひばりは持ってる」

「持ってるって……なんだって言うんですか?」

「――残念だけど、私に言えるのはここまで。後はユウと裕香ちゃんと一緒に過ごして、自分で考えてみなさい」

「え……!?」

「ここで言ったら、私にとって都合のいい子になっちゃうでしょ? --大丈夫よ、朝霧兄妹もきっと私と同じ気持ちだから。さ、そろそろ戻りましょ? ユウには色々と話さないといけない事あるし」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ