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朝霧裕香の華麗にして波乱万丈な休日(1)

 学園都市繁華街。

 ショッピングモール、ゲームセンターを始めとした、学園都市の娯楽の中心にて。

「ふんふふ~ん♪」

「裕香、上機嫌なのはわかるけど、こんな所で鼻歌歌うな」

「まあまあ、良いじゃないですかユウさん」

 休日であるため、午前でも人がごった返すその中で、裕樹とひばりの2人と手をつなぎながら、上機嫌な裕香が映画館を目指している。

 映画は勿論学生の手に寄る物もあれば、外からの搬入品もあり、ジャンルも種類も豊富である。

「結構あるな――あっ、俺あっちのアクション映画みたいな」

「ユウ兄ちゃんはヘタなアクション映画より、すごい事出来るでしょ。それよりあの恋愛映画でも見て、ちょっとは私にお姉ちゃんを紹介するその時を速めてよ」

「――裕香ちゃん、よっぽどお姉ちゃんが欲しいんだね」

「うん、欲しい。だからひばり姉ちゃんも、よかったら考えて欲しいな」

「――やっぱりそう言う事か」

「ゆっ、裕香ちゃん! ――そっ、それよりも、裕香ちゃんの見たい映画って何かな?」

「あっ、そうだった。あれだよ」


“魔機動少女パワードミコト THE MOVIE”


「アニメかよ」

「良いじゃん。小学生なんだからアニメの1つや2つ」

「まあ構わないけど……ポップコーン買ってやるから、どっちかは絶対俺から離れるな?」

「どっちかってなんですかどっちかって?」



 上映終了後。

「あーっ、面白かった」

「最近のアニメって、すごく進化してるなあ。あたしが裕香ちゃんくらいの頃とは、大違いだよ」

「違いない」

 裕樹達は映画を見終わった後、繁華街をぶらぶらとしていた。

 ――が。

「――なんか今日、偉くカップル連れ多くないか?」

「……言われてみれば」

 繁華街を歩けば、ウィンドウショッピング、手をつないで歩く姿。

 店内でも、軽いファッションショーや、喫茶店で会話に花を咲かせている光景

 何故かカップル比率が多く、裕樹もひばりも少し肩身の狭さを感じていた。

「わあっ――んーっ……そうだ!」

 その周りを、小学生らしい好奇心満載の表情で見回しながら、裕香はふと――。

「ねえねえ」

「ん?」

「どうしたの?」

 くいくいと今つないでる手をひっぱり、その手を解いて――

「ん?」

「え?」

 裕樹とひばりの手をつながせ、数歩離れる。

「はい、完成」

「あの、裕香ちゃん?」

「一体、どうしたんだ?」

「周りがカップルだらけだから、いっそユウ兄ちゃんとひばり姉ちゃんもカップルらしく――あれ?」

 朝霧裕樹、身長184cm

 支倉ひばり、身長138cm

 184-138=46cmの差。

「――身長差があり過ぎて、兄妹にしか見えない」

「……おーい」

「……あの、裕香ちゃん?」

「えーっと……何かないかな? 参考になる何か……」

「――どうする?」

「裕香ちゃんの気の済むようにしてあげましょう。それより……」

「ん?」

 ひばりが頬を赤らめ、何か言いたそうに裕樹を見上げ、その様子に裕樹が疑問符を浮かべ――ふと、つなぎっぱなしの手に目を向ける。

 ひばりの眼も、つなぎっぱなしの手に向けられると、裕樹は何かを思い出したかのように、頬を赤くする。

「わっ、悪い」

「いっ、いえ……それより、そろそろお昼ですね?」

「そういや……じゃあ、あそこで食べてかない?」

「そうですね。たまにはレストランも良いかも」

「おーい裕香、昼飯何食べたい? あのレストランで良いか?」


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