姉妹みたいな一時を
考えてみたら、裕香とひばりの仲良しシーン
大罪と美徳からずっと書いてなかったのを思い出したので
折角なので、書いてみました。
最近は本気で、裕香を起点とした裕樹とひばりのカップリングストーリー
その作成を計画、と言うか作成中です。
学園都市の学生寮は、設備が自慢と言われている。
支倉ひばりの住まう学生寮は、料理方面志望学生からの人気が高い、キッチンの設備が自慢の寮。
「そんな肩肘はっちゃ危ないよ。もっとリラックスして」
「うっ、うん」
そんな学生寮自慢のキッチンでは、ひばりが裕香に料理を教えていた。
ただ、2人の身長ではとどかない為、裕樹のツテで知り合った建築方面志望の学生が設計した、移動式の踏み台を使用して作業を行っている。
踏み台はひばりの力でも動かせるよう、床を傷つけずに設置出来るレール方式となっており、作業中に動かない様に車輪とレールの二重ロックもつけられた優れ物。
ただ、1人乗り前提での設計の為、現在移動式の踏み台は裕香が使っており、ひばりはその後ろでそれ以前に使っていた踏み台に乗っている。
「――背が小さいと大変だよ」
「ちっちゃくないよ!」
「そうだね。早く大きくなりたいよ」
「……そう、だね」
――ただいま10歳の裕香は、現在成長期の真っただ中で、兄が兄なのか発育も良い。
内心妹の様に思っている少女の成長に、嬉しさと嫉妬の入り混じった感情が湧きあがり、ひばりは複雑だった。
『ひばり姉ちゃん。私、大きくなったよ』
『ゆっ、裕香ちゃん!?』
『だっこしてあげよっか?』
「あれ、どうしたのひばり姉ちゃん?」
「……ううん、なんでもない」
――まるで月みたいな大人に育った裕香に、抱っこされかけた想像をしてしまったとは言えないひばりだった。
「いただきまーす」
「はい、いただきます」
本日のメニューはチャーハン。
2人でテーブルを挟んで、仲良くお食事。
「ねえねえひばり姉ちゃん、どうかな?」
「うん、美味しいよ」
「ホント? やった」
無邪気に喜ぶ裕香の姿に、ひばりはほっこりとした気分で、チャーハンを咀嚼する。
「裕香ちゃんは、何やりたいか決まったの?」
「え? うーん……まだかな? ユウ兄ちゃんを通して、いろんな仕事を見せて貰ったり、ルクスにも色々と教えて貰ってるけど」
『キィッ』
電子召喚獣の自我形成には、大量の時間と経験データが必要となる。
その為、初等部中等部の時点ではまだまだ赤ん坊の様な物であり、受動的な動作や反応しか出来ず――
「……早くルクスも、ひばり姉ちゃんの風華とか、ユウ兄ちゃんのカグツチみたいになって欲しいな」
更には、初等部の段階では姿形を形成するデータも未熟で、レッサータイプと呼ばれる玉の様な姿で統一されている。
ルクスと呼ばれた裕香の電子召喚獣は、手足はなく蝙蝠の羽を持っており、それでパタパタと浮いて裕香の頭にちょこんと鎮座する。
「まだまだ我慢だよ。風華もカグツチも、元々はレッサータイプだったんだから」
「元が同じとは信じられないけどね」
「そうだね」
そんな話をしながら、2人は楽しく食事を進め――。
「ごちそうさま」
終えると2人は食器を片づけ、まったりとテレビタイム。
「ん~♪ ひばり姉ちゃん大好き~♪」
「もう裕香ちゃん、くすぐったいよ」
「やだ~」
裕香は顔をとろけさせながらひばりに抱きつき、すり寄って完全な甘えっ子モード。
ただ、裕香に甘えられるのはひばりも嫌いじゃない為、成すがままとは行かなくても、頭を撫でてあげる位はする。
「えへへ~♪」
「……もう、しょうがないなあ」
普段子供扱いされる事の多いひばりにとっては、年相応以上で居られる時間。




