クリスマスパーティー
「皆ー! 私達のライブ、盛り上がってくれたかなー?」
『おーーーっ!!』
「ボクと宇佐美ちゃんの夢の共演、叶った感想はー?」
『最高でーす!!』
アスカと宇佐美は、クリスマスライブに勤しんでいた。
アスカと宇佐美の共演と言うだけあって、会場は個人イベントとは思えない程満員な上に盛り上がりを見せ、結果は大成功。
「お疲れ」
舞台裏に下がってきた2人に、朝霧裕樹が2人分のタオルと飲み物を手に出迎え、まずはタオルを、そして飲み物を差し出す。
「ユウ君も、こういうのが板についてるね」
「こういうのも、俺の仕事なんだよ。身の安全だけじゃなくて、精神的な安寧も守ってこその1流ってね」
「ま、確かにボディガードとしては、これ以上なく頼りになるけどさ」
「そうだね――前者はともかく、後者はね」
「どうでもいいけど、これから光一の部屋でクリスマスパーティーやるんだぞ? さっさとシャワー浴びて……は、ちょっと待て」
「あっ……じゃあちゃっちゃと片付けてね」
「了解」
……数分後
「お待たせ」
手でも洗って来たのか、タオルで手を拭きながら裕樹が戻ってきた。
「もう大丈夫?」
「ああっ、ごゆっくりどうぞ」
「どうせならお風呂の方がいいんだけどね、ボク」
「贅沢言うなよ。それより時間! 女の準備は面倒にも時間かかんだから」
「「はい、堂々と面倒とか言わない」」
「だったら、早目にな? 注文したローストビーフとかチキンとか、取りに行かなきゃならないんだから」
「「はーい」」
――所変わって。
「先輩って」
「ん? 何?」
「結構凝り性ですね」
「そう?」
「だって……」
所は、光一が住んでる寮の部屋の台所。
そこで光一の手元をじっと見詰めつつ、歩美ははあっと溜息をついて――
「そんな手の込んだお菓子の家、こんなに作ってる位なんですから」
その手もとの先――本日のクリスマスパーティーで出すケーキとして作っている、小さなお菓子の家を指さして、光一のきょとんとした顔にツッコミを入れる。
スポンジケーキを元に、ウエハース、チョコレート、ビスケット等を使い、家らしいデコレーションを施した光一作お菓子の家は、これで8つ目。
「いやあ、やってみると結構やりこんじまうものだなあ。はっはっは」
「作り過ぎです。こんなにどうするんですか? 全部4号相当だから、1人1つにするには大きいですけど」
「一番いい出来のを出すよ。他は1個か2個位冷蔵庫に入れて、残りは誰かに差しいれに持っていく」
「昔気質の職人さんみたいですね」
「いや、本業じゃないよ? こっちはどっちかと言うと趣味みたいなものだし」
「……これ趣味の枠なんですか?」
こんなの私にも作れる自信ありませんよ、と言うその言葉を歩美は呑み込んだ。
ピンポーン!
「おっ、来た来た。準備は?」
「お皿もジュースもクリスマスツリーも、全部出来てます」
「それじゃ……」
カチャッ!
「「「「「メリークリスマース!」」」」