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屋台通りの特殊なひと時

 学園都市の季節の変わり目は、慌ただしくなる。

 学園都市の衣食住を担う品は、全て学生の手による物あるいは経ている為に、忙しくなる為である。

 そんな中で屋台通りも例外ではなく、光一はかき氷を、つぐみ達はアイスを販売しており、それなりに繁盛中。

「……この部分の発音はだな」

「うん、うん」

「成程……」

 そんな中で裕樹と宇佐美、そして宇佐美の友人である奏は、光一の屋台とつぐみ達の屋台の共用休憩スペースで、かき氷とフロートをつまみながらの談話。

 今回宇佐美と奏は、近々行われる宇佐美のライブとその友情出演として、そのライブで歌う曲の練習――そして、英語の歌詞の発音を裕樹に教わっていた。

「と言うか、ユウって言語学科専攻だったの?」

「こういう仕事してる関係上、バウリンガルじゃないとキツイ部分があるからだよ。身辺警護には処世術だってひつよ――ってなんだよその眼は!?」

「だったら女の子の扱い方位、きちんとしてよ。デリカシーの無さじゃ、学園都市ぶっちぎりのナンバーワン何て言われてる位なんだから」

「そこまで言われた事ねえよ。ってか芸能科に入ったからって、腹黒まで学習すんな」

「そう言う所がデリカシーがないって言ってるの!」

「……ちょっと見ない間に、仲良くなってる――のかなこれ?」

 いつの間にか、蚊帳の外になってる奏は、そう呟いてかき氷を一口


「――まーたやってるよ」

「いつも通りの痴話げんか……ですね」

「ユウやんまーたやらかしたみたいだねい」

 一方屋台にて。

 呆れ口調の光一が全自動かき氷機を動かし、呆然としてる歩美がトッピングして、ワクワク口調のクリスが売り子として売り出すローテーションの光一の屋台。

「――ホント、いつまでも変わらないね。ユウさんって」

「でも今回はどうなるのかな?」

「良い所までは行っても、結局はダメってパターンばっかりだからね。ユウしゃんって」

「いい加減、ここいらで終止符を打てればいいんだがな」

 仕事が終わった寄り道で来たひばりと、接客中のつぐみとみなも、その手伝いに雇われた龍星もその様子を眺めて同じような事を話していた。

「こんにちは、氷メロン2つで頼めってあれ?」

「――ユウさんまたやらかしてるの?」

 そこに非番の大輔と、本日屋台通りのパトロール担当の光も合流し、その光景に出くわした。

 更に言えば――

「えーっ! 宇佐美ちゃんまでそうなっちゃったの!?」

「もうっ、毎度毎度美人ばっかり引っ掛けて来て――」

「まあまあ――今度はどうなるかな?」

「今度こそうまくいくんじゃない? だって宇佐美ちゃんって一条総書記の妹さんだし、朝霧さんって一条総書記の昔からの親友だって話だからさ」

「親友繋がりってこと? なんだか運命っぽくて良いかも!」

「やめてよー! 自信なくなっちゃうじゃない!」

 それはその場にとどまらず、屋台通り全体にまで伝染しており、女性陣は悔しがるかあるいはどうなるかできゃいきゃいと楽しく姦しくの、大騒ぎ。

「あーあっ、またかよ」

「まるで学園都市の美人は俺の物と……言う訳ねえよな、うん」

「1人2人分けてくれても良いだろうに」

「やめとけ、絶対疑問符浮かべるに決まってるから」

「あーもうっ! 無自覚で美人口説きまくれるって、どんだけ神な才能だよ!!?」

「ううっ、宇佐美ちゃん……」

 一方男性陣はと言うと、ここだけの話屋台通りには宇佐美ファンが多い為、結構激怒していたりする。


「――ったくもう……ってあれ? どうかしたか?」

「今屋台通りの間では、今のお前らの痴話げんかでもちきりだぞ」

「ええっ!!?」

「痴話げんか?」

 宇佐美は驚き、裕樹は疑問符を浮かべると言う極端な光景に、その事を告げた光一は苦笑いを抑えられなかった。

「――なんだい? 久しぶりに来てみれば、随分と騒がしいね」

「……ユキナ、痴話げんかなんて初めて見たよ」

「まあ確かに、久しぶりに面白い物が見れたかな?」

 その会話の、1人の声に聞き覚えがある人間全員が、ほぼ同時にその声の音源に目を向けた。

「太助!!?」

「久しぶりだねティナ、今をそれなりに楽しめてるようでなによりだよ」

「東城、お前なんでこんなところに!!?」

「なんでって、屋台通りに来る目的なんて1つでしょ? 久遠君、氷いちご1つと……ユキナは何が食べたい?」

「えと……氷メロンが食べたい」

「メロン1つでお願い」

 東城太助の名前に、屋台通りがざわめき――その次に。

「……あの人が、学園都市最悪の凶悪手配犯、東城太助さん……れしゅか?」

「そう、みたいだけど……」

「なんだか、ふつう……だよね?」

「……とても、学園都市を揺るがす大事件の首謀者だなんて、信じられません」

 みなも、つぐみ、ひばり、歩美は突然の展開について行けず、呆然としており――

「――あの人が、東城太助なの?」

「ああそうだ。てか、あんまり変わってないなあいつ」

「……本当にあんなさえない人が、あの大事件を起こしたんですか?」

「そうみたいだな」

 宇佐美、奏は唖然としながら、裕樹に問いかけていた。

「お待ちどうさま、だよん」

「ありがと。それじゃユキナ」

「はーい」

「――って、何手配犯がのんきにかき氷食べに来てるんですか!?」

 時間だけが流れると言わんばかりに周囲が呆然とする中で、太助と連れられた少女ユキナがかき氷を受け取ると、光が怒鳴る様に場の空気をぶっ壊した。

「東城先生、学園都市反逆及び、騒乱罪を始めとする数々の容疑と現行犯で、逮捕します」

「おや、光じゃないか。ちょっと見ないうちにお……えーっと……大人っぽくなったね?」

「今何に悩んだんですか!? しかも悩んだ挙句が疑問形ですか!?」

「ちょっと落ちつきなよ。ここにはかき氷を食べに来ただけで、別にテロりに来た訳じゃないんだから」

「そういう問題じゃありません! とにかく、貴方を逮捕――」


 バシッ!


「――!?」

「だから、やめなって。事を荒立てたくないんだからさ」

「やめよう光――全体にどうやら、カメレオン系の電子召喚獣を配置してるらしい」

「……ちっ」


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