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学園都市のすごろく大会(4)

『男子限定:同じチームの女子をお姫様だっこしながら6つ進む』


「――何の因果なのやら?」

「…………」

自らの腕の中で、雪のように白い肌を火照らせた様に赤くし、身を強張らせている怜奈を見ながら、裕樹はそう呟く。

 そもそも怜奈自身、周囲が女性ばかりだった上に周囲が男性を突き離している事もあり、男性に対しての免疫はあるとは言えず、増して触れる事自体が未知の領域。

 更に言えば、無駄が一切見当たらない位に鍛え抜かれた裕樹の身体は、怜奈から平常心を奪うには十分な要素だった。

 最も裕樹自身も、過去にいざこざがあったとはいえ、誰もが一度は恋をすると称される美貌をお姫様だっこしている状況には、男として何も感じない訳がなく、動きが少々ぎこちなくなっていた。

「――はい、1マス終了。次」

 ウィンドウが出て、どちらをお姫様だっこするかの話になった時、綾香が

『どうせだから、1マス進むごとに交代な♪』

 と言った物だから、裕樹は怜奈と宇佐美を交互にお姫様だっこしながら、進む事に。

「よいしょっと」

「……落とさないでよ」

「んなヘマしねーよ」

「流石、何人もお姫様だっこやり慣れてるだけあるね」

「意識してやった事なんて1度としてねえっての。大抵が咄嗟で、安定した形で抱え込みやすいから定着しただけなんだから」

「へえっ、じゃあ水鏡先輩が初めて意識してお姫様だっこした相手だったんだ」

「……みたいだな」

 その言葉がやや吐き捨てる様な雰囲気だった為に、宇佐美は口をつぐんだ。



「――あの」

「あー、あゆみんあゆみん、余所の事情には首突っ込む物じゃーないよん」

「そうそう。本人達が嫌いあってる訳じゃないんだから」

「……そう、ですね」

 余談だが、他の参加者の様子はキチンと把握できるため、それらの様子は筒抜けだった。

 一応事情を知ってる2人は、巻き込まれた形になってる宇佐美に同情はしつつ、光一がゆっくりと順番の回ったサイコロをひょいっと放り投げる。


『女子限定:男子にひっつきながら3つ進む』


「おーい綾香、これって……」

『もち、2人ともだ♪』

 通信ウィンドウに表示された100万ドルスマイルと、親指を立てての宣言だった。

 飛び込むように光一に背中にひっつくクリスと、おずおずと遠慮しがちに腰に手を回す歩美を伴って、光一は歩を進める。

「こういうのでよかったねい」

「……その点は同感。俺にはどっちかだろうと、お姫様だっこやおんぶみたいな事は出来ねーからな」

「……出来たとしても、私にはとても無理です」

「あゆみんは恥ずかしがり屋だねい。もっとギュッとだきつくべきだよん」

「わっ、私にはこれが限界ですよ!」

 控え目な歩美に、大っぴらなクリスとでは、抱きつき方も大きな差が出来ていた。



「……見てるだけでドキドキしましゅ」

「失礼だと言うのはわかっていますが、榊さん」

「わかってる。イベントでこんな事を強いるつもりはないから、一回休みで構わん」

 両チームの光景に当てられて、顔は真っ赤で心臓ドキドキのみなもを尻目に、蓮華からの無言の抗議に、龍星は苦笑して頷きながらサイコロを放り投げる


『課題:大食い』


「なっ、なんでしゅかこれ!!?」

「これは……保安部食堂名物、かつ丼カイザー盛りじゃないですか」

 保安部機動部隊専用食堂。

 そこで出される食事は、日々大食い大会でも行っているかのような超特盛りであり、光一にとっては鬼門ともいうべき場所である。

そこのメニューの1つ、カイザー盛りは特盛りの上のキング盛りの2倍はあるドンブリに、通常の何倍もの具を乗せた大盛りの中の大盛り。

「よし、任せろ」

 そんなカイザー盛りに、意気揚々と挑むのは榊龍星。

 片手で持ちあげる事自体が難しいサイズのドンブリをてに、箸を構え――

「いただきます」



「なんだか、さっきからすごい内容ばっかりだね」

「そうだね、つぐみちゃん。でも考えてみたらあたし達って、女の子ばかりだけど」

「ある意味、メンバーが偏ってる事が幸いしたってところかな?」

 先の3チームの様子を眺めながら、顔を赤らめ苦笑し顔をしかめの百面相は、感情豊かな3人らしい光景の中。

『にゃーっ』

『にゃっ?』

『んにゅ~♪』

 3人の手は、もっぱら一回休みの猫を撫でる事に夢中だった。


「さーて、あたしらの出番だ」

「……綾香、バネ仕掛け床は実装前には外した方が良いよ」

「ああっ、流石に心臓に悪い」

 1人元気な綾香がひょいとサイコロを持ちあげ、ブンっとドッジボールの様にサイコロを投げ飛ばす。


『課題:パズル 知恵の輪』


「よし、タカに大輔!」

「もうやってるよ」

「綾香にこういうの、むいてる訳がないのはわかってるから」

「あのな……」


そして一巡し――

「…………うーん」

裕樹に試練が訪れていた。


『男子限定:自分のチームと一番近くのチームの女子をくどけ』


 裕樹のチームは、一条宇佐美と水鏡怜奈の2人。

 そして一番近くのチームとは……

「……まさかひばり達とは」

 ひばり、つぐみ、光の女子3人チームだった。


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