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夏のキャンプ

 急激な変化というものは、必ずしもいい結果だけを生むわけではない

 人造神と二人のマスターを中心に、学園都市は残り3つ、水、風、土を手に入れようとするもの、あるいはマスターに取り入ろうとするなど、様々な思想が入り乱れた状態

 そんな中……

「ふぅぅぅ……」

 火の人造神のマスター、朝霧裕樹は火の力を制御すべく、肉体的な鍛練を含めて自らの研鑽に余念がない日々を過ごしていた。

「はぁっ、はぁっ」

「……」

 その鍛練に付き合うといって、参加した龍星、鷹久、綾香は既にグロッキー状態

 裕樹が課したメニューにもついていくどころか、こなしきれていない現状

「……こなせるとまでは思わなかったが、まさか脱落とは」

「そりゃ、最初からはこなせないメニューだから、当たり前だろ。けど三人とも基礎体力的にこなせない内容じゃないし、動きに無駄があるから出来ないってだけ」

 膝をついて、息を切らせてる龍星の言葉に、裕樹は少々不完全燃焼気味にそう答えた。

「ファルトレクはわかりますけど、岩を押したり足場の悪い川を走ったり木登りやら……って」

「明日は筋肉痛だなこりゃ」

「大丈夫、最低でも超回復は見込めるし、痛めるような動作はしてないから、ケガはないはず。鍛えて遊んでの日程だしストレスもねーだろ。それにキャンプ場は温泉あるし」


 現在裕樹たちは、学園都市から少し離れた御影家が所有する山でキャンプ兼強化合宿に来ていた

 自信の鍛練と、少しでも自身に近づけるように、裕樹が日程を組んだ上で。

 ちなみに、宿泊するキャンプ場はログハウス2家があり、温泉もわいているためにつぐみ、みなも、ひばり、宇佐美、月、アキ、芹香が裕香とアサヒを含めてそれぞれ野外レジャーを楽しんでいる

「……どうして私まで」

「科学的な洞窟に込もってばかりいないで、たっぷりと熱中症にならない程度は日光を浴びてこいって、業務命令が来たんでしょ?」

「…………一緒、に……遊ぶ」

「……まあいいでしょう。確か、アサヒさんでしたね。一度あってみたいと思ってましたから」

 と、アキは子供二人と遊ぶことに

「みなも先輩は、スケッチですか?」

「うん、自然絵は好きだから。そうだ、あとで宇佐美ちゃんをモデルにしたいけどいい?」

「いいですよ。特別ただで……なんて、仕事じゃなくても先輩に一度描いて貰いたいたかったから、喜んで」

『たまには、こういうのも良いよね』

 と、宇佐美と芹香はみなもと一緒に、スケッチに興じていてーー

「アウトドアといったら、やっぱりカレーだよね」

「特にたくさん食べる人が多いから、準備も大変だよ。えーっと、野菜の皮剥きにお肉の下ごしらえと……お仕事関係で美味しい香辛料たくさん手に入ったから、特性のカレーが作れるよ」

「流石はひばり、じゃあお肉の下拵えは私がやろうかな」

「じゃあ私は皮剥きやるから、ひばりちゃんは香辛料の方をお願い」

 つぐみとひばり、月はカレー作り。

「ところで、光一くんとクリスはどうしたの?」

「まだ誰の手にもわたってない人造神の調査だって」


 そして、夕刻時

「大丈夫か、三人とも」

「……裕樹、本当にあれが本当なら俺たちにこなせるのか?」

「勿論。でも俺は手取り足取りなんてしないから、それぞれがどうこなしていくか考えてくれ。皆が少しでも俺に近づくことは期待してるから」

「ユウさんに、近づく……そうですね。そのために来たんですから」

「そうだな。よーし、やってやるぜあたしは!」

「意気込むより、気づくのが先だよ。ポジティブは結構だけど、挫折したり何の成果もあがりませんでしたってのはなしでな」

「わかってるよ」

 と、鍛練を終えてキャンプ場に到着。

 カレーのいい臭いが漂ってきたとたん、3人の腹ががなりたて始めた。

「飯と温泉、どっちにする?」

「「「温泉」」」

 と言ったところで、裕樹たちに気づいた面々が駆け寄ってきた。

「お帰りなさい……ユウ兄ちゃん以外、皆バテバテだね」

「カレー作って待っててくれてて悪いけど、先温泉入ろうぜ」

「温泉かあ……覗いちゃダメよ」

「しねえよめんどくさい」


 ガンっ!!


「ぶっ!!」

「めんどくさいは斬新だなおい」

『そこは普通にしないだけでいいんですよ』

 宇佐美に荷物を投げつけられ顔面命中した裕樹に、非難轟々。

 それから、男湯女湯に別れた湯で、それぞれが疲れを癒し始めた。

「しかし豪勢だな。温泉があるなんて」

「本当ですね。流石は御影家ってことでしょうか」

「実を言うと、俺たちが5人で先生と合宿した思いでの場所でもあるよ」


「おー、さっすが宇佐美、1個下とは思えねえデカさだなあおい」

「きゃあっ! ちょっ、綾香さん!!」

「芹姉ちゃんもすごいなあ……えい」

「…………? ……すごい、ポヨポヨ」

『ゆっ、裕香ちゃん! アサヒちゃんも、変な遊び覚えちゃダメ』

「やっぱり女湯の醍醐味はこうでなくちゃね」

「あっ、あのっ……なんか、目が怖いれしゅ」

「もっ、もう月さん! そういうのはダメっていつもいってるでしょ!!」

「……騒がしいですね」

「……というより、男湯の方に聞こえてるんじゃ」


「賑やかだな。温泉で開放的にでもなってんのかな?」

「……まあ、ユウさんがこの手の事に反応しないのはわかってますけど」

「下手に何か自覚させるのも怖い気がするな」

 柵を通して伝わってくる賑やかさに、普通なら動揺なり沈黙なりしそうなものだが、裕樹はそのどちらにも当てはまらず、のんびり湯に浸かるだけだった。

「それはそれとして、少し騒ぎすぎですよ。全く綾香は……」

「ーー芹は裕香ちゃんとアサヒちゃんに甘えられてる程度? だからいいが……月の暴走が心配だ」

 そんなこんなで、色々と大騒ぎな温泉タイムは終了


「あー、気持ち良かったし楽しかった」

「楽しかったって、幾らなんでも羽目はずしすぎだ月」

「綾香も、幾ら貸しきりだからって騒ぎすぎ」

「そんなことより、はいお風呂上がりのミルク」

 温泉からあがって、鷹久と龍星が綾香と月に抗議するも、月はどこふく風と二人に瓶を差し出した

「牛乳ですか? まあ風呂上がりなら定番ですね」

「じゃあありがたくいただこうか」

 といって、二人はお礼をいって瓶を開けて一口……

「大事に飲んでね。私の絞りたて♪」


 ブーーーっ!! × 2


「ちょっと月さん!?」

「冗談よひばり、冗談。ちゃんと正真正銘、ただの牛乳」

『月さん、全然冗談になってません!!』

「……なんか、どっと疲れが」

「……俺もだ。もうただただ早く寝たい」

「あれ、飯食わねーの?」

 裕樹の言葉に、二人とも返答することはなかった


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