甘えん坊日和(抱き枕)
裕樹とみなもからアサヒへのプレゼントで、抱き枕を作った
みなもの手作りで。デフォルメされた裕樹のプリント付き(ぷち風)。
「上手いもんだ」
「そう言って貰えて何よりです」
無地のカバーに、みなもがデフォルメ裕樹をデザインし、それをプリントしてもらった抱き枕カバー。
そのカバーを被せた抱き枕は――
「――裁縫や絵は俺じゃどうしようもないし、せめて抱き枕とカバーとプリントの金出す位はさせてね」
と、実は結構高給取りな裕樹が、高い物を買った。
「と言う訳でアサヒ」
「私と裕樹さんからの、プレゼント」
と言って、抱き枕をアサヒに差し出した。
差し出したのは裕樹で、みなもはその一歩後ろでアサヒが怖がらないように気を付けながら。
「…………」
アサヒが両手を差し出し、裕樹から抱き枕を受け取った。
受け取ったそれをじっと見て、キュッと抱きしめ……。
「…………ありがと、お兄ちゃん」
まず裕樹にそう言って――
「…………」
次にみなもの目の前に歩み寄って――
「…………あり、が、とう……み……みな、も、おねえ、ちゃん」
恐怖と言うよりは、緊張の色の方が強い雰囲気で、アサヒは途切れ途切れお礼を。
「うん、喜んでくれて嬉しい」
「…………し、ぃ」
「え?」
「…………わっ、わった、んんっ……わた、しも……プレ、ゼント、うれ、し、い」
少々過呼吸気味になりつつ、アサヒはそう告げて逃げるようにソファーの陰に隠れてしまった。
ソファーの陰で、息を切らせるアサヒを、ソファーの上から確認して――
「良かったな、みなも」
「――はい」
裕樹がそう告げると、みなもは本当に嬉しそうに笑みを浮かべた。
呼吸が正常になり、落ち着いたアサヒはソファーに寝ころび、抱き枕をしがみつく様に抱いて、寝息を立て始めた。
「……じーっ」
「ん? どうした裕香、なんか面白くなさそうだな」
「そんなんじゃないよ。抱き枕の事で手伝いたかったのに、蚊帳の外だったのが――」
「心配しなくても、明日になりゃ裕香も喜ぶもんが届くよ」
「?」
――次の日。
「――でーきた」
届いた品の入った箱を開けて、中の部品を裕樹が説明書を読みながら組み立て、完成したのは――
「これって――」
「揺り椅子。裕香、みなもに抱っこされてる間座りっぱなしだし、通気性の良い物とかこう言うの会った方が良いかなって思ったから」
「――なんか赤ちゃん扱いされてる気がするんだけど」
「赤ちゃんと言うより、ネコが膝の上で丸くなってるような感じだけどね。あと積載量が120kgの頑丈な奴だから、みなもと裕香合わせたって8.90位だし……」
「――裕樹さん、考えて贈り物をしてくれたのはわかりますし、心遣いは嬉しいですけど、女性の体重の事を言うのはやめてくださいって、何度も言った筈ですよね?」




