学園都市のすごろく大会(プロローグ)
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投稿時間が時間だけに、他のに流されてみてないだけ……だとおもっときます。
学園都市を代表する最先端技術と言えば、デジタルデータを現実の物質として具現化する、DIEシステムが挙げられる。
そして、そのDIEシステムの研究、開発に欠かせない技術が――それが
“VR”
DIEシステムがデジタルデータを現実に物質として、あるいは知性を持つ個体として構成するのに対し、VRは人の感覚を仮想空間へといざなう技術
VRとDIEシステムは、言うなれば現実世界と電脳世界をつなぐ手段の様な物であり、学園都市はこの双方を最先端技術としての実験都市としての面も持っている。
ただしDIEシステム程に、学園都市での生活に綿密に関わっている技術とは言えないが――
「わあっ……すごいなあ、宇佐美ちゃんのダンス」
「しゅごいれしゅ。私にはあんな動き、れきましぇん」
「流石は、学園都市芸能部門における超新星――と言ったところか」
それでも学園都市に欠かせない技術である事は確かで、DIEシステムの研究以外でも主に娯楽方面で学園都市の内外問わず、大いに貢献している分野でもある。
例えばゲームセンターでは、通常のゲーム筐体以外にもVRを使用したゲームがあり、その為の専用スパコンの設置は常識となっている上に、D-Phoneさえあれば会員登録がいらない仕様となっている等、門戸は非常に広い。
更に言えば、VRMMOの分野においても学園都市発のタイトル(勿論開発は学生による)は世界中で人気を博している等、最高峰に位置している。
「ふぅっ……」
「勝負とは違う意味で結構きついなこれ」
「全身運動だもん。きついに決まってるでしょ」
話は変わり、その学園都市に存在するゲームセンターの1つで、一条宇佐美はいつもなら屋台通りで商売をしている筈のつぐみとみなも、そして龍星をギャラリーに、裕樹と一緒にダンスゲームに興じていた。
「たまにはゲーセンも良いもんだな」
「――私、こういう所に来るの初めてです」
「あゆみんももちっとにぎやかな所ではっちゃけよーよん♪」
その少し離れたところでは、歩美をギャラリーにガンアクションゲームに興じてる光一とクリスが、得点を競い合っている。
勿論これらにVR技術が組み込まれており、プレイする際には専用ヘッドギアを着ける事で、本番さながらの臨場感を感じながらプレイが出来る代物となっている。
学園都市外の来賓いわく、世界最新鋭のゲームセンターとまで評されていた。
「お待ちしておりました、オーナー。ではこちらへ」
「ああっ……ん? なんだよ、ユウにティナ、龍星のダンナじゃねえか。久しぶり」
「あれ? シバ。なんでここに?」
「なんでも何も、ここは俺の店だぜ。視察に来たんだよ」
武田シバ
中等部時代は、学園都市でも最大級の不良グループのリーダーを務めていた経歴を持ちながら、高等部からは経営、経済学科の主席にして、学園都市において随一の会社、武田カンパニーの創設者にして社長。
経歴こそ経歴だが、頭角を現した今では学園都市の商業に幅広く精通し、大きな影響力を持つ学園都市の商王の異名を持つ程の商才を発揮し続ける男である彼は、黒いスーツを纏った長ドスを持ったスキンヘッドと、ソフト帽にサングラスの男を両脇に据え、さながらマフィアの様な雰囲気を纏いながら、店内に入って来ていた。
「おおぅっ、久しぶりだねい。しーばん」
「……話には聞いてたが、キャラ変わり過ぎだろ。まあこれはこれで面白いがよ」
「お前らのその格好、何とかならんのか? ゲームセンターに視察に来る恰好じゃないんだが?」
「いきなり挨拶だな、龍星のダンナよお。良いんだよ、これはオレの趣味なんだから」
『キューっ!』
そうだそうだと言わんばかりの鳴き声に、その場の全員がシバの足もとに視線を向ける。
「相変わらず、お前にゃ似合わん可愛い奴だな。ブンプクは」
「おいユウ。コイツを可愛いなんて見くびった奴が今までどうなったか、知らん訳じゃねえだろがよ?」
――シバの電子召喚獣、ブンプク。
光一のシラヒメ程度の体躯の狸型で、つぐみのアマテラスと並べても全く違和感ない所か、逆に絵になる程の愛らしさを持っている。
が、あくまで可愛いのは外見までであり、知る人間には裕樹のカグツチに匹敵する電子召喚獣として知られている。
またシバ自身も、保安部でも北郷正輝しか相対出来ないほどの実力者である事も含めて、敵にしたくない人物である。
「あの、オーナー」
「ん? ああっ、そうだったな。悪いがこれで」
「なんだよ、ゲーセン拡張でもすんのか?」
「そうだ。VR筐体増やそうと思ってな――んじゃな、ユウに龍星のダンナ。仕事に困ったらオレんとこ来な、優遇してやんゼ」
余談だが、ゲームセンター専用のタイトルとしての物の場合は、ヘッドギアではなくカプセル型の筐体に入り、その中でタイトルを選んでのプレイとなる。
内容はアスレチック、サバイバルアクション、フライトレーシングと言った独自性の高い物が多く、このVR筐体の数が収益を現すと言われている程に人気を博している。
「皆さん結構な大物と知り合いなんですね?」
「知り合いってだけさ。俺達が特別ってわけでも……」
ヴィーっ!
「ん?」
「どうかした?」
「綾香からメールだ。どれどれ……?」
裕樹のD-Phoneがバイブ振動し、裕樹は取りだして操作しメールを読み進めて行き……
「へえっ」
「どうかした?」
「興行委員会の方で、新しいイベント方針の立案があったらしくて、それで俺達にモニター頼みたいってさ。どうする?」




