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学園都市の体育祭 タッグバージョン(7)


「--プログラム・シン、起動」

 その言葉は怜奈ではなく、凪でもなく--

『--そこまで、にするがよい』

 生徒総会席から発せられ、金色の光が裕樹と怜奈、王牙と凪の間に割り込んだ。

 裕樹と怜奈、王牙と凪の双方がただならぬ雰囲気を感じたのか、ほぼ同時にバックステップ。

 シン・カグツチとシン・ブラストも戦いを中断し、割り込んだ金色の光に警戒し始める。

「--お前、コンジキか?」

『左様。これが妾の、形態シンの姿--呼ぶなら、シン・コンジキと呼ぶがよいぞ』

 まず目を引いたのは、十二単を纏った人型。

 その顔は狐の面を被り、流れるような金色の髪--そして、9本の毛並鮮やかな尻尾を広げている。

 尻尾は3本ずつ、白金、黒金、黄金色に分かれており、更にはそれぞれの尻尾の先には文字の入った水晶玉が着けられている。

 手に持った扇子で口元を隠しる姿は、薄ら笑いを浮かべている様に見える。

「--で、どういうおつもりですかな? 総副会長殿」

「見たいものは全部見せて貰えた。故に朝霧裕樹、水鏡怜奈のタッグ結成を認める--以上をもって、終了だ」

「--それだけで、プログラム・シン使ったのかよ」

「確かに不本意ではあるが、流石に貴様等の間に割って入るのはこうでもせねば難儀だ」



 --所変わって。

「--総副会長も、シン・スフィアを持ってたんだ」

「--ああっ。まああの総副会長殿が使えない、なんて事はないだろうが……コンジキが雌だとは言え、今までとのギャップがすごいな」

「そう、ですね……ボクも、あんな形態シン、初めて見ました」

「……ただ初見みたいだが、シン・カグツチとシン・ブラストがあそこまで警戒するって事は、只者じゃないのは間違いない」

 龍星と辰美も、シン・コンジキに単なる十二単を纏った女性体だという印象を持てなかった。

 無論、裕樹の左目の古傷をつけたのが総副会長、大神白夜である事は2人も知っていた為、プログラム・シンを使える事に関しては特に疑問を抱いた様子はない。

「……」

 そんな中で、裕香が無言で総会の席の方向を。

 主に総副会長に向けて、怯えと嫌悪を交えた視線を向けていたことは、2人とも気付かない。 



 --その後。


 グギッ!! メキメキメキッ!! ドスッ!! ゴキィッ!!

 バキバキバキッ!! ドゴドゴドゴッ!! ドガンッ!! ゴキャアッ!!


 今回対峙した2組のタッグ、そして龍星と辰美、裕香は芹香の案内で、生徒総会の用意した一室で休養を取る事になった

 特に一番ダメージが多い裕樹は……

「……なんかすごい音がするんだが、一体何やってんだ?」

『治療……だって聞いたけど』

「……悲鳴が聞こえないのが逆に不気味だ」

 今回の対決の手配の一環として、呼び寄せておいた花柳月の治療(?)を受けていた

「ふぅっ」

 白衣を纏い、胸元を開いたブラウスと短めのタイトスカート。

 と言う、色気むき出しの格好をした月が、汗をハンカチで拭きながら別室から出て来た。

「終わったのか?」

「ええ。今日一日安静にしてれば、明日には動けるわ」

「良かった」

「さて……」

 次に怜奈、王牙、凪に目を向ける。

 ……3人の身体を診察と言うより、品定めするような目を向けながら。

「ドクター、真面目にやってもらいたいのだが」

「冗談よ。仕事と趣味を混同したりしないわ--どうせなら」

 ちらりと龍星の方に目を向けて--

「ちょっと違う趣向もありかな、と思ったりはするけど」

『だっ、ダメに決まってますよ!』

「大丈夫、芹ちゃんも十分美味しそう……」

『ひっ!?』

「……さて、じゃあ次は王牙君ね。そこに上着脱いで横になって」

 と、蠱惑な表情で芹香と龍星を品定めする様な目から、ころりと表情を変えて王牙の診察を始めた。

「相変わらず、冗談か本気かがよくわからんな。大体ドクターは、久遠を好いてる筈だろう?」

「勿論1番はそうだけど、私は頼れる男と可愛い娘が大好きだから、守備範囲に引っかかる人を見るとついついたべ……からかいたくなっちゃうのよ」

「……子供がいるのだから、そういう節操のない表現は控えて貰いたいんだが」


「……ねー辰ねーちゃん、いつまで目と耳を塞いでたらいいの?」

「今ちょっと裕香ちゃんの教育に悪い話をしてるから、良いっていうまでダメだよ」

こつこつと書き溜めて、時期が開きましたが、ようやくです。

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