学園都市のDIE事件ファイル(番外1)
学園都市の住居は、教員用のマンションやアパートを始めとして、建築方面の学生による物、上流階級の学生用の高級マンション等が存在するが、基本的には寮となっている。
その学生寮にしても、受講学科に合わせた環境――トレーニングルームや、本格的な厨房と言った設備を備えてある為に、基本的には不自由はない。
しかし朝霧裕樹は、保安部や生徒総会のツテで極秘事項を扱う事も多い為、その口ききで学園都市最高基準のセキュリティの備わったマンションに住んでいた。
そして……
「はい、到着だ」
本日行われる、宇佐美達のお泊まり会は裕樹のマンションで行われる。
当然だが女子寮は男子禁制であり、いかに用心棒稼業を営む裕樹と言えど、入れる訳もなく――。
「と言うか、女子のお泊まり会の場に、男の部屋提供する普通?」
「非常事態だから、もうカグツチつけるだけにしとけないんだよ。心配しなくたってこういう非常事態の為に、カギ付きの客室位備えてあんだから」
「……意外と、生活レベルが私達と違うんですね」
「そうでもないよ、朝倉。家じゃ食う、寝る、本を読む、アスカ或いは宇佐美の歌を聞く、トレーニング位しかしてないから――さて、そろそろ」
本日のお泊まり会の参加者は、宇佐美に歩美、つぐみにみなも。
それから、つぐみが声を掛けたひばりに、宇佐美が声を掛けた奏。
「……まさか、ユウさんのマンションでお泊まり会するなんて思わなかったな」
「私、男の人の部屋って入るの初めてれしゅ」
「……あたし、てっきり宇佐美ちゃんかつぐみちゃんの女子寮かと思ったんだけど」
「まさか、ユウさんのマンションだなんて……」
つぐみ、みなも、ひばり、奏では展開とマンションのグレードの高さに、それぞれ呆気にとられていた。
そして所変わり、ユウの部屋にて
「――意外とセンス良いんだ?」
「意外とは余計だ」
場所は、明らかに1人部屋の広さではないリビング。
対面型のキッチンとなっており、テーブルが1つあってソファーが2つ。
テレビの両サイドには、CDラックとCDプレイヤーが置かれており、そこには主にアスカの曲が連ねている。
「なんか、1人部屋とは思えない程広いですね」
「さっきも言ったけど、非常事態には護衛対象を招く事もあるし、この部屋は生徒総会の口利きで住んでるから、依頼で人を預かることだってあるしね」
「……生徒総会から、仕事を請け負ってるんれしゅか?」
「あっ、そっか。そう言えば宇佐美ちゃん、総書記の一条宇宙さんの妹だったよね」
「そ、ひばりの言う通り――さて、予備のテーブル出さないと」
「予備って……」
「あれ、朝倉は何も聞いてない? たまに光一とか龍星とか、保安部の知り合いとかも呼んで、焼肉パーティーする事もあるんだ――とりあえず、適当にくつろいでて良いよ」
そう言って裕樹はリビングから出て行くと……。
「……なんだか、ユウさんの意外な一面を見た気がするなあ」
「……私もれしゅ」
「えっと……とりあえず、ご飯の支度しようよ? お世話になる訳だし、これ位はしないと」
「……なんだか、話について行くのがやっとです」
つぐみ、みなも、ひばり、奏ではそれぞれの感想を言って、一旦荷物を置く。
「……なんだか、とんでもない事になっちゃったな」
「宇佐美さんは、私達と違って元々ここにお世話になる予定みたいですけど」
「……何事もないといいんだけど」




