DIEパンデミック!?(1)
「なあ光一」
「--さっきの話の続きになるけど、こいつらには俺独自の改良を加えたんだ。その過程で、ある技術の土台を見つけた」
「それが、これか?」
裕樹が、呆れとも同様とも取れない表情で、女性陣を指さした。
指さした先には……
「--なんだか、変な気分」
「見るだけなら可愛いれしゅけど、なんだか落ち着きません」
「これ、繋がってるのかな?」
それぞれ動物の耳やしっぽなどを付け、胸元にはコアと思われる水晶がくっついた姿となっていた。
つぐみがウサギ、みなもが狐、宇佐美が猫、ひばりが小鳥(嘴などはなしで、背に翼がくっついた姿)
「まさか、電子召喚獣との融合じゃないだろうな?」
「そんな事、東城太助でもなきゃ無理だ。あれはせいぜい、電子召喚獣のデータを纏わせてるだけ」
「纏わせる?」
「正確には、電子召喚獣の容姿データを一時的に分解して、ああいう風に衣装データとして再構築したって事」
「「「--それだけかホントに?」」」
「……それだけ、の筈なんだけど」
裕樹、鷹久、龍星が揃って疑いの声を上げ、光一も珍しく自信なさげに言葉を返す。
--というのも
「くーん、くーん♪」
裕樹の腰に、先ほどから裕香が抱き着き、顔をこすりつけている姿が4人の目を引いている為に。
当然だが、裕樹以外の男性陣はしっかり者の裕香ちゃんが、と意外そうに見ていて--
「--もしかして、装置に近かったからかな?」
「……かも、知れませんね。でもなんだかかわいい」
つぐみと宇佐美が、普段見る事がない裕香の姿に和んでいて……
「……もしかして、ひばりちゃんも」
「うん--でも、黙っててあげようかな」
知ってるみなもとひばりは、それぞれ口をつぐんでいた。
「あよっこらしょっと」
そんな中で、裕樹がひょいっと裕香を抱き上げてやり、人前では表に出さない筈の甘えん坊を全開に、裕香が喜んでぎゅっと抱き着いた。
--犬の尻尾を喜びを表すように振りながら。
「裕香抱き上げてやるの、赤ん坊の頃以来だ」
「もうっ、赤ちゃん扱いやめてよ! --ううっ、恥ずかしい」
「ああっ、悪い悪い。じゃあおろ……」
「……」
「……さない方がよさそうだな」
裕香は恥ずかしさが先立っていたが、尻尾がへにょっと垂れ下がっていた。
「--それで、これ治せるの?」
「そうだ。肝心なことはそれだった」
その場のほぼ全員が見なかったことにして、光一に尋ねた。
「数分で解除するようにはしてあるけど……」
「保証は出来ないって事?」
「まだ実験前だったから」
「でも衣装……みたいなものとはいっても、なんだかね」
「まあいいだろ、宇佐美結構似合ってんだから。えーっと……盛りの付いた猫? みたいで」
バチーーンッ!!
「あれ? 何か間違えた?」
「……大間違いです」




