榊龍星、最強への挑戦
『グオオオオオオッ!!』
『ガアアアアアアッ!!』
黒い火竜が、メカの虎の肩に喰らい付き、振り回すように食い千切る。
バギィッ、と言う音を響かせ、アーマーごと右肩を食いちぎられたシン・コウエンが倒れ、シン・カグツチが食い千切った右肩のアーマーをペッと吐き出した
「ここまで、だな」
裕樹がそう言うと同時に、一定値のダメージ以上を受けた事によりプログラム・シンが解除され、元の小虎姿の煌炎へと戻っていく。
ぐったりとした煌炎を拾い上げながら--
「……まだまだか」
「出来ないか一度成功したきりがほぼ全員の中じゃ、上出来なんだけどな」
ちなみに、辰美以外の四神が一度成功したきりの部類に当たる。
それ以上となると、やはり龍星と似たり寄ったりであり、一番多くて辰美の50%となる。
100%成功というのは、裕樹たち最強レベルを除けばクリスティーナ・ウェストロードのみ。
「じゃ--構えな、龍星のダンナ」
「おう。手加減すルナヨ」
煌炎とカグツチをD-Phoneに戻し、次は本人たちが構えをとって相対する。
ただ、裕樹が相手の出所を伺う姿勢であるのに対し、龍星がバーサクモードを展開。。
「オオオオオオオオオオオオッ!!」
裕樹が特に動じた様子も見せずに姿勢を崩さず、バーサク龍星が雄たけびを上げ裕樹めがけて突進。
ある程度の距離を詰めたところで、龍星がパンチを繰り出し--。
「……」
裕樹が、ひょいと体をひねる様にして回避。
続けざまに、両の拳を連打するも、裕樹はひょいひょいと躱し--
「コノっ!!」
裕樹の眼前に、ようやくパンチの一発が届こうかという所で--
裕樹が拳の動きに合わせ、背をのけぞらせながら倒れるような体制で後ろとび。
龍星の腕が伸び切った所で、裕樹が蹴りを龍星の顔面に命中させ、地面についた手を支点にくるんと軽やかに体を翻し、距離を取って態勢を整えた。
「グッ、クゥッ……」
「大丈夫か?」
「シンパイモエンリョモイッサイムヨウ! ホンキデコイ!!」
「--わかった」
裕樹が表情を変え、一歩踏み出し--瞬時に龍星との距離を詰め肩を掴む。
バーサク龍星が咄嗟に裕樹を薙ぎ払おうとし、裕樹は肩を掴んだその手を支点に飛び上がり、龍星の頭上で宙返り。
その勢いを利用し、龍星の背に自身でも会心の手応えを確信する踵落としを叩き込んだ。
「グハッ!!?」
「……」
更には追い打ちを掛けるように、今度は横に体を翻し龍星の顔面に膝蹴りを叩き込む。
派手に正面から倒れ込んだ龍星に、裕樹が着地と同時に駆け寄る。
「あっ……つっ……!」
「--ちとやりすぎたか」
裕樹が龍星を担いで、一路休憩所へ。
龍星をベンチにうつぶせに寝かせ、蹴りを命中させた箇所を冷やしてやる。
「すまんな、ダンナ」
「……本気で来いといったのは俺だから気にしなくて良い。それ以上に、バーサクモード使っても強がりさえ出来んのが情けない」
「そりゃバーサクモードが脅威なのは認めるけど、それでも倒せない訳じゃない。パワーこそ上がっても所詮は暴走状態、技や心理が単調になるからパターンがわかりやすくなる」
そう言われて、龍星は先ほど咄嗟の判断に頼らざるを得ないスピードと、得意のアクロバットアクションで翻弄しつつ、的確な一撃を加えていた裕樹の戦法を思い出す。
これが御影凪、鳴神王牙、北郷正輝といった面々なら、また別のやり方で自身を圧倒するんだろうが……。
「……痛みが引いたらもう1本行くか?」
「すまんな、付き合ってもらって」
「良いよ別に。そういうチャレンジ精神、嫌いじゃない--手加減は期待するなよ」
「--思ったよりスパルタだなお前」
日陰者の楽園の続きもそうですが、最近全然ネタが浮かびません
リクエストあったら是非




