新年会のサプライズ(プロローグ)
「みなさん、あけましておめでとうございます」
学園都市、生徒会議事堂ビルにて、生徒会主催の新年会パーティーの開始
「……しっかし、みんなよくこんな格好で疲れねーよな」
「綾香が過敏に嫌がってるだけだよ。確かに僕も窮屈ではあるけどさ」
裕香のコーディネートで、黄色いドレスと後ろで結った髪の綾香は、周囲の数段栄えていた
そこにタキシードの鷹久が並べば、絵になると言う位に--
なると言うのに、綾香の不満たらたらな表情で台無しになっていた。
「もうっ、綾香姉ちゃんったら……あの髪の手入れ、力作なのに」
「でもよく出来てるよね。さすがは裕香ちゃん」
「今度、あたしにもやってくれるかな?」
そんな綾香に不満たらたらなのが、コーディネートした裕香だった。
その傍で、つぐみとひばりが裕香の手際をほめていてーー傍から見れば、同級生の会話だったのは割愛。
「そっか……兄さんが、そんな事を」
『うん。だから宇佐美ちゃんも、頑張らなきゃね』
「いいお兄さんですね、一条総書記って」
その更に別の所では、宇佐美、芹香、みなもが談笑していた。
その様子は、見る男を引き寄せる者を醸し出していたが……
「これ美味かったんだが、どうだ3人とも」
龍星という強面が控えている為、殆ど尻込みしていた。
タキシードこそ来ているが、どちらかというと要人警護のSPのような雰囲気を醸し出しているのも、助長している。
「ねえ、芹姉ちゃん」
『どうしたの、裕香ちゃん』
「ユウ兄ちゃん知らない? さっきからどこにもいなくて」
『それが……』
ピーンポーンパーンポーーン!
『ご来場の皆様、これよりサプライズイベントを行いますので、ダンスホールへとご来場お願いします』
場内放送が告げられると、周囲は疑問に思いながらもその場を後に。
「サプライズイベント? --芹、一体何が」
『--朝霧さんと凪さんのエキシビジョンマッチ』
周囲に人が居なくなってから、芹香が風丸の声を潜めさせたうえでそう告げた。
「……なんで正月でエキシビジョンマッチを?」
『それが前々から、朝霧さんと凪さんのエキシビジョンマッチを見たいって、一般女子生徒からの要望が多くてね』
「確かに凪さんは、最強随一のイケメン。交流があるの、よく女友達に羨ましがられたっけ」
「それにユウさんも、“黙ってさえいれば”女性受けはいいからね。その組み合わせが女子の要望が多いの、わかるけど」
綾香と鷹久が納得したように頷く。
『それに加えて、生徒会の女子生徒……というか、凪さんと朝霧さんのファンが結託して、その提案を正式な要望として纏めちゃって』
「……それで、サプライズのエキシビジョンマッチとして、まとまった訳か」
「……しゅごしゅぎれしゅ」
芹香の説明に、呆気にとられつつ……
「じゃあ行くか。ミーハーじゃないが、最強同士の対決なんて見逃す手はない」
「そうですね」
「いったいどんな勝負になるのかが楽しみだ」
龍星、鷹久、綾香は武闘派として純粋に楽しみに思いつつ、その場へ向かった。
一方……
「--せめて事前に連絡位して欲しかったな」
「断る理由でもあるのか?」
「別にないけど、覚悟決める位は……」
「エキシビジョンマッチだぞ。重要なのは勝敗ではなく、最強としての振る舞いだ」
「礼儀正しく、正々堂々と、冷静沈着に、だろ? --わかってるさ」
「頼むぞ。最強は君臨すると同時に、手本であり敬愛されるべき存在である事が責任だ」
「……耳が痛えな」




