日陰者の楽園(5)
クリスのプログラム・シンの形態出しました。
活躍は、次回と言う事で。
裕樹とクリスは、驚愕を隠せなかった。
ひばりが、風華ではない電子召喚獣の背に乗り、一路スタジアムへ向かっている。
「あの電子召喚獣、スタジアムに向かってる!?」
「ひばり!!」
裕樹とクリスが、一斉に駆けだそうとしたところへ--
「オオオオッ!!」
突如、明らかに正気とは思えない男子生徒数名が、その行く手を遮った。
「オルタバーサクの面々かよ」
「オルタ?」
「反転されたバーサクモードだから、僕がバーサクモード・オルタナティヴって名付けた」
「呼びにくいから、オルタバーサクだ」
「なーるほどねい--友達がかかってるおねーさんを邪魔すると、容赦はいーっさいノーサンキューだよん」
口調こそ砕けてはいても、言葉に込められた感情は全くの別物。
クリスは真剣な表情で、D-Phoneからある物を具現化する。
「おいおい、シン・スフィア使うことないだろ」
「そう言いながら、ユウやんの手のそれはなーにかねい」
クリスの指さす裕樹の手には、確かにシン・スフィアが握られている。
更に言えば、目の前には裕樹とクリスの電子召喚獣、カグツチとハクコが既にシン・エンブレムが刻まれた装飾品を身に着けていた。
「目の前でひばり攫われたとなりゃ、裕香にあわす顔ねーだろ」
「相変わらず、妹に甘いお兄ちゃんだねい」
「俺の前でその口調やめろ。それと、せめて優しいと言ってくれ……プログラム・シン、起動!!」
「いーや、ユウやんは妹に甘いお兄ちゃんだよん……プログラム・シン、起動!!」
裕樹とクリスの掛け声が重なり、シン・エンブレムの刻まれたカグツチの腕輪、ハクコの首輪が同時に輝く。
その光の筋がつながり、一際太い光となったその次の瞬間--
『ゴギャアアアアアアッ!!』
背から翼が生え、強靭な腕や足は甲冑のような形を取り、手の甲と肘と膝に溶岩の噴き出る水晶玉が付与され、二の腕からは剣のような突起が生えていく。
その体が深紅色から漆黒に変貌した、シン・カグツチが。
『ガオオオオオオオオッ!!』
肩部から左右一本ずつ鞭のような金属製触手が伸びた、簡易的な刺々しい白銀の鎧をまとった白虎。
触手をドリルの様に自立回転させながら、シン・ハクコが姿を現した。
「あれ? なんか、前の時より弱くなってるような……」
「流石、女の子の事じゃてんでドンちゃんでも、こういう事は敏感だねい」
「はぐらかすな」
「ウェストロードの電子召喚獣は、特殊でねい。要のデータをヴァイスに譲り渡しちゃったから、ハクコにかつての様な力はないよん」
「成程ね--で、まさかあんなまがい物のバーサクモードに引けを取る程--」
「弱ってると思う?」
「全然」
裕樹が電子ツールの刀を、クリスが電子ツールのライフルを手に。
「さて、暴れるか!」
『ゴギャアアアアアアッ!!』
「っ!!?」
ふと、カグツチの咆哮が聞こえ、ひばりは振り返った。
すでに遠ざかっているために何も見えなかったが--ふと、裕香が泣いている姿が、脳裏に浮かんだ。
「……ごめん」
最近転職することになり、息抜きの為の執筆位しか出来ません。




