日陰者の楽園(プロローグ)
最近どうも中途半端に終わってばっかで、申し訳ありません
さて、今回は海の買いで出そうと思ってたネタと、ひばりをヒロインに据えた話
それから、DIEシステムの秘密について出そうと思ってます
競争を教育方針とする学園都市では、大なり小なりイベントが開催されている。
誰もに大きく飛躍するチャンスがあり、王者への挑戦は誰もの夢として定義される--そんな場所
しかし、競争によって齎されるのは栄光と繁栄ばかりではなく--
「おい、あいつ……」
「この前ドーピングで叩かれた奴だろ? なに表で歩いてんだよ」
「恥ずかしくねえのかね」
勝利の礎になる敗北も、勝者以上に存在し--
その一部には真偽問わず不正によって、白眼視に晒され続ける者もいた。
「……んで、だよ--俺、何も、やってないのに……」
『憎いか? なら憎め』
「え……?」
『取り戻せ--日の光の下を歩く権利を』
「えっ、があっ、あっああああああああああっ!!」
そんな日陰者に堕とされた者達に、齎さられた物--それは祝福か怨念か。
それは、当人のみぞ知る
--所は、屋台通り
「ようつぐみ、1つくれ」
「あっ、お兄ちゃん」
「どうだ、調子は」
「うーん、今日は人通りが少ないから……」
ドガシャーーン!!
「!? なんだ」
龍星がつぐみたちの屋台から、いくつか離れた屋台が突如壊された。
1人の男子生徒の手で-ー
「うっ、ぐぅぅっ……」
「--フフッ、フフフッ、アハアアアッハッハッハッハ!!」
壊された屋台の中で、男子が1人尻餅をつき、顔面を抑え怯えながら後ずさり。
壊した男が、ボキリと拳を鳴らしながら一歩前に……
「何やってる? 気に入らない事があるなら言ってみろ」
出ようとした所を、龍星がその男の肩を掴み制止させる
そして、事を穏便に済ませようと説得を申し出て……
「ヒャアッ!!」
「くっ!!?」
いつの間にか引っ掴んでいた破片を突き出し、龍星の頬に一筋に傷を刻む。。
龍星が咄嗟に距離を取り身構え--
「ヒッ、ヒヒヒッ!」
男が破片についた龍星の血を、ベロベロとなめ始める。
「--正気じゃないなら気が引けるが、力尽くで動けなくして……」
「アアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」
「何!!?」
突如、男が大声を上げたと思うと、龍星は目を見開いた。
目の前の男は--
「--バーサクモード、だと!?」
「キヒャアッ!!」
驚愕する龍星の隙をついて、男は駆け出した。
駆け出した先に居るのは……
「! つぐみ!!? やらセルカアアア」
つぐみを狙ったとわかった瞬間、龍星もバーサクモードを展開し--
ドガアッ!!
「ゲギャッ!!」
突如、男が吹っ飛ばされた。
「ナニ!?」
視線をつぐみに戻してみれば、そこにはつぐみを抱きかかえた裕樹が、裕香をおんぶして蹴りを放った姿で立っていた。
「大丈夫か、つぐみ?」
「ケガはない? つぐみ姉ちゃん
「はっ、はい……大丈夫、です」
「ユウキ! ……スマン、助かった」
龍星が心底ほっとした表情で、バーサクモードを解除しつぐみに駆け寄った。
それに合わせて、周囲からも緊張感がほぐれていくのが目に見えていく。
--その中で裕樹は、裕香とつぐみを下ろしつつも男から気を離さない。
「--裕香、つぐみ、ちと離れてろ」
「え? でももう……」
「北郷じゃあるまいし、1撃でバーサクモードを抑えられると思ってない」
「……嫌なこと思い出させるな」
「ダンナのバーサクモードは、俺達も手加減出来ねーんだ。それがダンナじゃねーっつっても、こんな凶悪な形で出てる奴に油断は……」
「出来ないよね、やっぱり」
「……来るとは思ってたが」
「……相変わらず神出鬼没だな、東城」
「それはいいから、そいつ抑えてくれない? 調べたいし、君達も知りたいだろ? そいつの……バーサクモード・オルタナティヴとでも呼ぼうかな」
「わかった」




