学園都市サマーシーズン到来(裏)
学園都市にも、生徒会や保安部の死角と言える場所がある
そこは大抵、学園都市の規則違反あるいは犯罪に手を染めた者隠れ家となっていて……
ドガシャンッ!!
「一々手ぇ挙げてんじゃねえぞ! この暴力保安部員が!!」
「言葉でわからん方が悪い!!」
「……君たちねえ、食事の時くらい静かに行儀よく出来ないの?」
「行儀良くしろと言っても聞かんからだ」
「いきなり首引っ掴んで言う事か!」
「やーめーろ!」
学園都市手配犯、椎名九十九と鮫島剛の2名の諍いが派手に響き渡っていた。
「“静かに行儀よく”食事しようね」
「わかった」
「--へいへい」
度を越えて真面目でキッチリとした性格の九十九と、何かとルーズでだらしがない性格の剛は何かと相性が悪く、2人は一団内でも諍いが絶えない。
加えて2人してプログラム・シンを使える上、危険度の高い手配犯認定されるレベルの実力の持ち主である。
救いと言えるのは、太助を立てる事の優先度だけは2人共通して最優先事項である為、太助の仲裁があれば引き下がる事。
「……こういう時程、先生が頼りになる」
「--うん」
一団の女性陣はというと、既に安全地帯に避難していた。
場所は、学園都市の地下施設跡地。
既に放棄された其処は、太助がクラッキングで再開発計画を凍結させた上で立ち入り禁止区域とし、隠れ家の1つとして使用している。
かつては電子召喚獣研究施設だったそこは、研究設備も生活設備もまだ生きてて、実験室もトレーニングルームの1つとして使える利便性の高い場所。
「--あの、東城先生。最近出る機会なかったから、たまには外に出てみません?
「ん? 別に良いけど、どうしたのいきなり」
「こう長く静かで薄暗い空間に閉じ凝ってると、気が滅入って仕方ないだけ」
「僕は研究がはかどるから好きだけど」
「……そちらの肌には合うだろうけど」
新参の白崎カスミが、不満露にそう提案し太助は思案する。
「なら海行く? ちょうど海で実験したい事があったから」
「行きたい!」
「私も」
「海か……よし、アーロン使って水上スキーとでも行きますかね
「その前に準備だ。水着にパラソル、レジャーシートにラジオ体操用の--」
「レジャーにアホ臭い趣味持ち込んでんじゃねー」
椎名九十九、趣味、ラジオ体操




