支倉ひばりのお子様(ランチ)クッキング(2)
「で、相談ってなんだよ?」
「……ユウさんはご存知ですか? 最近の連続強盗傷害事件を」
所は屋台通り。
そこに吉田鷹久が、裕樹を訪ねてきていた。
「ニュースは見てるよ。最近調理系学生相手を専門に、強盗傷害をやらかしてる奴等がいるって」
「はい。それで、各飲食店は経営がままならず、料理系のイベントも参加者が不足して中止になってて」
「でもそれなら、保安部でも調査してるって話だろ。なんで俺に相談を?」
「興行委員会でも、イベントが幾つか潰れた今回の事態を重く見てまして。綾香を通じてですが、僕にも独自に調査するよう依頼があったんです」
綾香が所属している縁があり、鷹久は主に学園都市興行委員会からの依頼を収入源にしている。
最も、鷹久も保安部隊長格には劣るものの、それなりの腕利きとして通用するために依頼は多い方である。
「それで、調査を進めて分かった事が--この事件を起こしてるのが、犬神と毒島なんです」
「--って事は、荒川の組織か。じゃあ俺に相談するのもわかるけど、でもそれなら保安部にも北郷が」
「北郷長官は今別件で手が離せないそうです。ですから興行委員会からの正式な依頼をしたいという交渉を、僕が頼まれたんです」
「ん、わかった--なら鷹久、裕香とひばりを頼めないか?」
「裕香ちゃんと、支倉さんを?」
「実は今度、お子様ランチの料理大会に出るらしくて、裕香に味見役頼んでんだよ」
……じーーっ!
「……なんだよその眼は?」
「いえ……最近支倉さんと仲がいいって噂、本当だったんだって」
「噂になるようなことかな? 仲がいいってんなら、つぐみやみなも、アスカに綾香に……」
「そのレベルの話じゃありませんからね」
「?」
綾香よりこの手の話をするのが、疲れそうな人がいるなんて思わなかった
鷹久は内心で、そう思っていた。
「裕樹さん」
「ん? どうしたひばり」
「どうしたじゃありませんよ。今日も買い物、一緒に来てくれるって約束なのに」
「あっ、そうだったな……悪い、ちと急な用事が入っちまった。でも代わりに、鷹久が一緒に行ってくれるって--悪いひばり、裕香頼むな」
「あっ……もうっ」
頬を膨らませるひばりに、鷹久が苦笑する。
「あっ、タカ兄ちゃん?」
「やあっ、裕香ちゃん。ごめん、お兄さんにお仕事依頼したから、今日は僕が代わりだよ」
「お仕事? --だったら、綾香姉ちゃんも呼んでよ。今日と言う今日は、綾香姉ちゃんをオシャレに目覚めさせてあげるんだから」
「--あたしパス」
「なんで? ユウさんに仕事依頼するんだから、委員会の所属の綾香も行くのが」
「……また裕香に捕まって着せ替え人形にされちまうから、それだけはカンベンして」
「ーーもうっ」
「--ごめん、綾香は今日は仕事で遅くなるって」
「そうなの? --残念」
「--さ、買い物でしょ?」
「あっ、そうだった」




