PV撮影に潜む影(エピローグ)
ちと打ち切りみたいな形になりましたが
「保安部です! 今あなたに人身売買の容疑がかけられております」
突如保安部に下された、理事会直々の捜査依頼。
調査は準備から開始までが瞬く間に進められ、一斉検挙に至った。
「……人身売買事件、一気に解決か」
その次の日、保安部の突如の一斉検挙は報じられることとなる。
「--でも保安部って動けないはず、だよね? だから裕樹先輩が大立ち回りをして」
「その辺りはわからん。宇宙に聞いても職務上の事は話せない、だそうだ」
「なんにせよ、子供たちが救出されて良かったれしゅ」
ニュースサイトを閲覧しながら、龍星、つぐみ、みなもは安心したように笑みを浮かべた。
「あっ、あの……ここに、朝霧裕樹さんは、いらっしゃいますか?」
「ん?」
龍星が顔を出した先には、数十人の初等部女子。
「どうしたんだい、お嬢ちゃんたち。裕樹に何か?」
「あの……私たち、朝霧裕樹さんに助けてもらったんです」
「裕樹に……ああっ、この事件の」
「それで、入院してる子の分も、お礼を言いたくて……」
「裕樹か……そういや今日は見てないな。荒川を撤退させたとは聞いてるけど」
--所変わって。
「…………」
裕樹は、着の身着のままで、ソファーで寝息を立てていた
それも、気を失って倒れ込んだかのように。
「……お疲れ様、ユウ兄ちゃん」
その裕樹に毛布をかけてやり、
「--で、なんで総会長様に手柄を渡すような真似を?」
「僕たちはただ、誰の敵にも味方にもなる--それだけだよ。まあ朝霧君には無理させちゃったけど」
「無理、ねえ……けどなんで榊のオッサンを外した? あのオッサンのバーサクモードは」
「……ただでさえ変態趣味に晒されてるのに、そこに狂乱状態の大男を乱入させてどうするのさ?」
「……きついな」
「善は権利じゃなく責任であり、最初から持ってる物じゃなく学び育むものだよ--で、朝霧君ならヒーローとして理想的な救出を成し遂げられる」
「まあ現に、子供の感謝一団が出来てる位だしな」
「……学園都市は競争--喜びと祝福の理想郷とするか、不幸と怨念の楽園とするかは、住人次第なのさ--そうだ」
「ん?」
「僕たちはこれからは、“楽園消失”と名乗ろう」




