裕香の職業見学(DIE専攻学)
「ようこそ、DIEシステム専攻研究施設へ。俺が--あっ、裕香ちゃん」
「あっ、光一兄ちゃん」
今日は裕香の学校は、DIEシステム専攻の見学
訪れたのは、光一が所属する研究施設だった。
「俺は久遠光一、ここの所属研究員で朝霧裕樹の専属電子ツール開発者--わかりやすく言えば、朝霧裕樹の電子ツールを作ってメンテしてるのは俺なんだ」
「--またか」
「--もしかして、裕香ちゃんと仲が悪いクラス委員長って」
「そう、そこのインケン」
「インケンとは失礼ね。七光り!」
「あっ、ここでケンカしないで。壊れやすい機械もあるから--それじゃあ案内するね」
学園都市の生活で欠かせないD-Phone。
その機能の根幹となっているDIEシステム--その代表的な技術の1つ、電子ツール。
データ情報を現実のものとして具現し、道具として使うその技術は学園都市で生活するうえで欠かせないものとなっている。
「現状では、近代的な道具--例えば機械の具現、あるいは建物といった大規模かつ永続的な具現が出来ない為、道具に関してはナイフや銃弾といった人が手に持てる物限定となります」
「じゃあ車とか自転車は?」
「車は出来ないけど、自転車は出来るよ。最近じゃ、レンタルの自転車は皆電子ツールとして具現されたものだね」
「電子ツールって、主にどんな使い方をされてるんですか?」
「代表的なのが、保安部や生徒会SPなんかで使うスタン兵器として。そして最近では、医療介護として大いに役立っています」
「付加機能を付けられるって本当なんですか?」
「うん、さっき言ったレンタルの自転車につけられてる、安定運転と全自動式無反動ブレーキといった機能とかね。付加機能については、生徒会に査定に出して合格を貰う必要があるけど」
光一が施設を案内しながら、質問に対しての応対する。
最も、裕樹つながりの相手の所為か、約一名面白くない雰囲気だった。
「ではここで、スペシャルゲスト」
普段講義室に使っている広い部屋に案内し、皆を席に座らせたところで、壇上に立った光一がそう宣言した。
演出で電気が消え、壇のある個所だけに照明がともる。
そこには口ひげを蓄え、眼鏡をかけたいかにも研究者風の初老の男性が笑みを浮かべ光一の隣の壇に立つ。
「こちらはドクター“カンブ”」
「“ナンブ”です」
「--失礼しました。こちらはドクター南部、本名は“ゲンブ”啓太郎と」
「“ナンブ”です」
「……南部啓太郎と言いまして、DIEシステムの代表的なシステム、電子ツールを開発した天才科学者であり、この研究施設の総責任者です」
「初めまして、“ナンブ”啓太郎です。君たちの来訪、心から歓迎します--おや、朝霧君の妹さんの、裕香さんじゃないですか」
約一名、またも面白くない表情をする中で、裕香が前に。
「お久しぶりです。ドクター“アンブ”」
「“ナンブ”です」
「--ごめんなさい。えと、兄がいつもお世話になってまして」
「いえいえ、朝霧君にはいつも試作品のテストをして貰ってますから、彼のおかげでいつもいいデータが取れて助かってますよ」
「そういってもらえると嬉しいです。ドクター“ザンブ”」
「“ナンブ”です」
ピーンポーンパーンポーーンッ!
『ドクター“コンブ”、学園都市理事会からの来賓です』
「“ナンブ”です」




