学園都市のお正月
あけましておめでとうございます
今年もよろしくお願いします
「みなさん、あけましておめでとうございます」
学園都市の正月は、基本的には寝正月ではあるが……
今年は生徒会主催の、正月パーティーが開催されていた。
なので勿論……
「ドレスコードなんて大っ嫌いだ!!」
「だから、声が大きいよ綾香」
ドレス姿の綾香が盛大に不満をぶちまけていた。
「それに正装は最初だけで、後は更衣室で普段着に着替えて催し物の見物じゃない」
「だったら最初っからでも……」
「まあ生徒会主催だから、最初位は正装でしっかりと、って事じゃないかな」
ひばりも少し動き辛そうにしながら、苦笑して綾香を宥めるのを手伝い始めた。
「--ま、ごちゃごちゃ言ったって始まんねえか。さーて……どこ行くタカ、ひばり」
「そうだね……この時間だと、鳴神さんと北郷さんの餅つきと、宇佐美ちゃんのライブかな」
「あの2人の餅つきかあ……そりゃ、見に行く価値あるなあ。下手な格闘大会より、よっぽど迫力あんだろうなあ」
「宇佐美ちゃんのライブが終わったら、ユウさんと裕香ちゃんと凪さんが、その餅つきの餅で作ったお雑煮なんかを配って回るそうだよ」
「んー……他のみんな、どうしてんだろ?」
「龍星さんは、芹香さんとデート--多分餅つき見に行ってるんじゃないかな? で、つぐみたちは宇佐美ちゃんのライブ見に行ってるよ」
「じゃあライブ行こうぜ」
--所変わって
「みんな-! 今年もよろしくねー!!」
宇佐美のライブ会場は、大盛況だった。
「はーっ……流石宇佐美ちゃんだねー。こんな大観衆の中で、あんな堂々とできるなんて」
「……わちゃしなんて、観客側でも緊張ちたのに」
「でもユウ兄ちゃんだって、こんな大観衆の中で戦ったりしたことあるんだから……学園都市で頂点に立つ人には、度胸も必要なんだよね」
つぐみ、みなも、裕香がそれぞれライブの感想を言い合い--
「けどすげーな。あたしもこんな大規模イベント、企画してみてーぜ」
「綾香ならできるよ」
「……やっぱり、学園都市で頂点に立つ人って違うんだなあ」
綾香、鷹久はイベントの大規模さに感心し、ひばりは宇佐美の堂々とした振る舞いに敬意を表していた。
「おーい、皆」
そこへ裕樹が宇佐美を伴い合流した。
『……新年早々か(ですか)』
……頬に、くっきりと手形が自己主張した顔で
「新年早々いったい何言ったんですか?」
「お小言は勘弁してくれよ……大体頬膨らませたって、体は縦にふくらみゃしないんだから」
「ゆ・う・き・さん?」
「……ごめんなさい」
「あーっ、今年もユウさんはひばりの尻に敷かれるんだな」
「違いないね」
一方その頃
「どっこいしょおっ!」
「そりゃあっ!」
「どっこいしょおっ!」
「そりゃあっ!」
「--さすがは王牙と正輝だな。力強さと威圧感では、俺も圧倒される」
『りゅーくんったら--こういうのを見たいって気持ちはわかるけど」
「すまんすまん。だが芹がいれば、どこだろうと遊園地気分だ」
『……りゅーくん』
「……空気が甘ったるくなったのはなぜだろうか」
「……間違いなくあそこだ」
「……引っ込みたいところだが、そういう訳にもいかんのがつらい」




