怒りと嘆きの輪舞(5)
「朝霧……初等部より、”我こそが最強”と競い合い、鎬を削りあった友が、なんという姿に」
裕樹を改めて見据え、拳を握り締める正輝は、悲痛な表情を隠せず。
「屈辱だ!! ……我らが最強という絆の象徴を、友がこの様な魂なき醜態を強いられる形で穢されるだなど!!」
そして王牙は、大いに涙を堂々と流しながら怒りを露にし、天地に響くかという勢いで咆哮する
「……」
その中で凪は、唯一冷静沈着に(あくまで周囲と比べて)裕樹を見据えていた。
熱血根性が信条の王牙とは対照的に、凪は冷徹鋭利を信条としている。
普段こそ誠実で人当たりがよく、女性人気においては一条宇宙にも勝るとも劣らない人格者。
しかし一度仕事となれば、生徒会SP身辺警護部隊長として、隙のない冷静沈着な仕事で総会からの信頼は厚い。
「ーー孫」
『キーッ!』
金剛武神如意が突如、裕樹めがけて伸びていき、裕樹がそれをよけ駆けだす。
手に打刀を構え、凪が如意を元の長さに戻し、居合を受け止める。
「--暴走しても、その技量だけは変わらないか」
凪が如意を引き、身体を回し裕樹の背を狙い、裕樹が宙返りでをれを回避。
足が最上位に達すると、そこで体を翻しその勢いで打刀を振るい、凪が受け止めたと同時に背の大刀を地面に突き立てる。
足を開き、裕樹がその足を逆回転に回す勢いで体を翻し--
「気づこうと、もう遅い!」
後ろから迫ってきていた正輝の拳目がけ蹴りを放ち。それがはじき返されくるんと宙返りを披露し着地。
--その後ろから。
「ぬおりゃああああっ!!」
『モオオオオオオオッ!!」
王牙とブラストが、上下に腕を重ねるようなラリアットを裕樹の背に叩き込むと、左右の肩を掴みスクラムを組むような形に。
それから2人で裕樹をバックブリーカーにかけ、背骨を折るかのように強く固める。
「武瑠、フラウ、南波、いまだ!」
「玄甲、水縛り!」
「ヴァイス、金剛鎖縛や!」
「緋炎、炎羽膜を!」
凪の指示に従い、裕樹の手足目掛けそれぞれの電子召喚獣に拘束技を繰り出させ--
ゴキゴキっ!
「--っ!? させるか!!」
鈍い音が聞こえたと同時に、王牙とブラストが咄嗟に腕を捕まえようとし……
それがむなしく空振りし、裕樹は起き上がる反動を利用し足も外し、飛び降りて距離を取った。。
「逃がすか!」
王牙がタックルを繰り出し、裕樹の腹をとらえた。
その裕樹は王牙の背に頭突きをし、それを軸に飛び上がり、上で体を一回転させ王牙の背に踵落とし。
そこから王牙の背に踏み込み、飛び上がって距離を取り--
「--肩関節を外して抜け出すとは……くそっ、ワシとしたことが!」
「……相手が相手だ。そう簡単に捕まえられるわけもない」
「それより、大丈夫か?」
「問題ない!」
「ーーすげえ攻防戦だな。タカ、ユウさんのあの踵落とし、ガードできる自信あるか?」
「……受け止める処か、いなすことも無理だよ」
「さすがに、あんな力ぶつけ合ってるだけあるな……俺だって裕樹の蹴りや王牙の技、正輝のパンチは受けきれないっていうのに」
戦いはまだ始まったばかり
にも拘らず、その場を見ているもの全員を圧倒するには十分なやり取りが繰り広げられていた。
さて、次は……ちとギスギスした内容ばかりなので
次は、時間軸的に太助が帰ってからの、ひばりかみなものカップリング要素ストーリーを考えてます。
どっちから書こうかな?




