学園都市のハロウィン(Ver2016)
遅くなりましたが、ハロウィンです
学園都市のイベントは、都市を挙げて盛大に行う。
それはイベントを通じて気持ちを一つにし、協調性と自立性を促すことを教育方針としているため。
「トリックオアトリート」
学園都市自慢の大会場、人口約210万人を収容してなお余裕がある客席を保有する、巨大湾岸スタジアムにて。
本日はナイトイベントを実施するという、生徒会からの通達がありスタジアムに全員が移動。
スタジアム内はハロウィン装飾が施され、周囲にはDIEシステムによりハロウィン模様が飛び交っている。
「いったいどんなイベントするのかな?」
「楽しみれしゅ」
つぐみとみなもは、ワクワクとしていて--
「チックショーっ、聞いてねえぞこんなの! なんであたしに依頼が来なかったんだよ!?」
「……綾香ちゃん、声が大きいよ」
「恥ずかしいからやめて、綾香」
綾香はこんな大規模イベントの企画依頼が自分に来なかったことを怒り、ひばりと鷹久に宥められ
「しかし、良いのか?」
『うん。一条総書記からちゃんと許可はもらったから』
「なら今日は二人で楽しむか」
『うん』
デート目的で来てる龍星と芹香。
ガチャンッ!
会場の電気が消えた。
そして、円形に作られた客席の中央が、ライトアップされる
「ご来場いただきました皆様、大変お待たせいたしました」
そこに姿を現したのは、とんがり帽子にマントに法衣という、魔法使いの仮装をまとった御影凪。
「キャーッ! 凪様ー!!」
周囲の女性陣から、黄色い声が上がる。
「ーーすごい人気だね」
「凪さんは女性に人気があるからね」
「あたしは武道家としてしか興味ねーけどな。恋人にするとメンドくさそーだし」
「……それ絶対凪さんのファンの前で言わないでね」
綾香のセリフに苦笑する鷹久と、周囲の黄色い声に驚くひばりは、傍観姿勢。。
そんな中で、凪が長杖を取り出し自慢の棒術を披露するように、振り回す。
「--いでよ、熱血大魔!」
やや芝居のかかった声を上げ、ヒュンッと杖をある地点に突きつける。
そこにDIEシステムによる演出で魔法陣が浮かび上がり--。
「--ウオオオオオッ! ハッピーハロウィン!!」
角の装飾を付け、悪魔の仮装をまとった迫力満点の鳴神王牙が、召喚の演出とともに姿を現した。
『--流石は王牙さん、迫力ある演出だね』
「うんうん、こうでなくっちゃあな」
芹香は圧倒され、龍星はうんうんと頷いた。
「--目覚めよ、剛腕巨人!」
次はライトアップで、運び込まれてくるガラスの六面体が映し出された
その中には、鎖で貼り付け台に縛られた、傷の模様とボルトのような装飾品を付けた、フランケンの仮装をした北郷正樹が。
凪がぶんっと杖をふるうと、これまたDIEシステムの演出で貼り付け台に雷電が降り注ぎ、ゆっくりと正樹が目を覚ます。
「--フンガーーっ! ハッピーハロウィン!!」
目覚めたフランケンが暴れるような演出で、鎖が引きちぎられガラスの箱が拳で砕かれ、咆哮しながら凪のいる場所へ。
「流石、北郷長官ならではの演出だよ」
「迫力あるー」
警備にあたっていた大輔と光は、そんな正樹に姿にびっくりとしていて--。
「--来たれ、剣のヴァンパイア兄妹!」
そして最後は、天井に闇夜の光景が映し出され、蝙蝠の演出とともに--
「ハッピーハロウィン!」
「ハッピーハロウィン!」
マントを羽織り、ドラキュラの仮装をした裕樹と、裕樹に寄り添うように蝙蝠の仮装をした裕香
この2人が、ジャック・オ・ランタンの装飾を施したゴンドラに乗って姿を現し--。
「よいしょっと」
ある程度の高度になると、裕樹が裕香を抱き上げゴンドラから飛び降り、ふわっと着地。
裕樹が3人と目くばせし、頷きあい--裕香に目を向け、頷いた。
「せーの--」
『トリックオアトリート!』




